
Spotifyは、オーストラリアの音楽とアーティストの注目を高めるためのマーケティング・キャンペーン「Turn Up AUS」を開始しました。キャンペーンでは、同国の音楽を特集する専用のエディトリアルハブやプレイリストをSpotify内で展開。SNSプロモーション、OOH広告も展開されます。また、ファン向けのライブイベントの開催、業界関係者がデータ活用の理解を深めるようにする教育プログラム、次世代アーティストや業界リーダーを支援する取り組みも実施します。Spotifyは、同国の業界団体と連携して、オーストラリア国内の音楽需要の喚起、ローカルアーティストや新人アーティストの再生機会を増やし、オーストラリア市場の音楽収益化を推進することを目指します。
Spotifyオーストラリア・ニュージーランドのマネージングディレクターのミカエラ・ランカスター (Mikaela Lancaster)は、今回のキャンペーンは業界関係者やアーティストと1年以上かけて議論・企画したと述べます「昨年、オーストラリアのアーティストは27億回、新しいファンに発見されました。この勢いを止めてはいけません。Spotifyはオーストラリアで1200万から1300万人のユーザーがいますが、国外でのユーザー数は6億人もいます。10億人を目指して急成長しています。これは大きなチャンスで、機会を逃がしたくありません」
今年3月、オーストラリア政府に対して、ライブ音楽市場に関する調査結果が提出されました。その中で提案されたのは、「オーストラリア政府はストリーミングサービスと連携して、アルゴリズムや自動生成プレイリストが国内ユーザーに提供する音楽においてオーストラリア音楽の割合を増やすよう取り組むことを奨励しています。こうした協力が得られない場合、ストリーミングサービスに対して、オーストラリア音楽の割合を引き上げることを義務付ける法律の制定を検討すべきと勧告しています。
Spotifyは、一定比率の配信義務 (クオータ)に否定的です。2024年、カナダでも同様の制度が検討されました。その際にも反対姿勢を示しました。今回の「Turn Up AUS」キャンペーンは、オーストラリアにおける配信義務導入を回避する対抗策の一環とも見られています。
ランカスターは今回のキャンペーンは「ファンの自発的な音楽再生を促す」ことに焦点を当て、楽曲をフィードに押し込むことではないと強調しました「業界の皆さんには、Spotifyの再生の大半がユーザー主導で生まれている点を理解していただきたいです。ユーザー自身が検索し、お気に入りに保存し、プレイリストを作成し再生しています。私たちはこうした再生を『アクティブストリーム』と呼びます。『Turn Up AUS』はアクティブストリームを生み出す本当の音楽ファンを動かすために設計されました。こうしたファンは、ライブラリ保存からリピート再生を行い、最終的にRelease RadarやDaily Mixなどに楽曲が追加され、コンサートのレコメンドにも繋がります。アーティストはこうした本当のファンを開拓することで、継続的な収益が得られるようになります」