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Spotifyは、2024年から、ロイヤリティ分配の仕組みを変更する計画を進めていることが、明らかになりましたSpotifyは計画を公式に発表していませんが、レコード会社やディストリビューターとは、水面下で議論を進めている模様です。

ロイヤリティの支払いに関して、これまで報じられてきた変更案は、3つあります。

  1. 全ての楽曲は、ロイヤリティ支払いを受ける前に、12カ月以内に最低1,000再生に達する必要がある
  2. レーベル及びディストリビューターは、不正再生の原因となるコンテンツを配信した場合、ペナルティが科される
  3. 機能的トラック (ホワイトノイズや環境音など)の配信で、ロイヤリティ支払いを受けるには、音楽トラックよりも長い最低再生時間の基準を満たす必要となる

上記の3つの変更点は、音楽ディストリビューターで、収益分配ツールを提供する「Stem」の社長であるクリスティン・グラツィアーニの寄稿記事で初めて明らかになりました

年間再生数の基準である「最低1,000再生」は、BillboardとMusic Business Worldwide (MBW)も、Spotifyと権利者に近い情報ソースから確認されました。

Spotifyは、この新しい支払いモデルによって、同プラットフォームのロイヤリティ分配プール (比例配分ベース / プロ・ラタ・モデル)の0.5%に値する楽曲が収益化の対象から外れると予想しています。

Spotifyは、業界関係者に向けた説明で、年間最低1,000再生を新しい基準にすることで、この0.5%が受け取っていたロイヤリティ収入の年間数千万ドルが、残りの99.5%に値する再生された楽曲に再販分されると述べています。Spotifyは、2024年、1,000再生未満の楽曲に支払われていた4,000万ドル (約60億円)が、基準を満たした楽曲の権利者に支払われると見込んでいます。

MBWによると、Spotifyがレーベルやディストリビューターに対して行った説明で、「平均して月5セント以下の収入しか得ていない楽曲へのロイヤリティ支払いを止める」ことが、変更の狙いにあると解説している模様です。

Spotifyが公開する、音楽に関する統計サイト「Loud & Clear」のデータによれば、1,000回以上再生された楽曲は、3,750万曲存在します。

1億曲以上の楽曲コンテンツを配信しているSpotifyにおいて、約6,250万曲 (62.5%)が、年間1,000再生の最低基準を満たしていないことと推定できます。

グラツィアーニが指摘するSpotifyの現行モデルの問題点は、アーティストに行き渡っていない収益が、今でも多いことにあります。グラツィアーニによれば、12カ月で1,000再生した楽曲からの収入は3ドルほどです (1カ月で80再生強)。

しかし、多くのディストリビューターはこうした売上をアーティストや権利者に分配せず、保有し続けており、銀行口座の数十万ドルの利子で利益を得ている、との課題を示します。

少額の支払いを分配することで、4,000万ドルを新たにロイヤリティ分配プールに増やすことができると指摘します。

Spotifyが示した変更点、特に最低1,000再生が収益化の基準に設定されたことに、反対意見もあります。音楽ディストリビューターで、TuneCoreの親会社である「Believe」CEOで創業者のデニス・ラデガエリ(Denis Ladegaillerie)は、反対を表明していました

また、インディペンデント・アーティストや音楽クリエイター中心のキャリアの支援を行う権利啓蒙団体のFuture of Music Coalitionや、United Musicians and Allied Workersなどの音楽業界の組合も、変更に反対意見を述べています。

変更に伴い、再生回数が少ないアーティストはもちろん、再生回数を不当に上げているアーティストやレーベル、環境音など音楽以外のコンテンツを配信してロイヤリティを受け取ってきたディストリビューターやクリエイターなど、多数の人々が影響に与えると予想されます。

新しい変更点では、不正再生の規制も大きな変更です。不正行為のある楽曲を配信しているレーベルやディストリビューターには、金銭的な厳罰が科されることになります。

このような状況下でも、不正に再生回数を上げるため、違法行為や人為的な操作を行っている配信者や、不正行為を見て見ぬふりをするディストリビューターが、Spotifyを利用しているのが現状です。

Spotifyでは、過去数年に渡って、アーティストやレーベル、ディストリビューターに対して、不正再生の検知ツールの開発や、業界向けの正当な再生と収益分配に関する情報発信を強化するなど、不正行為の削減を目指し、取り組みを実施してきました。