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Metaは昨今、FacebookやInstagramなど同社が運営する世界的なプラットフォームにおいて、UGC生成用の音楽利用を軸に、音楽著作権者とライセンス契約を拡大しています。

しかし、先日、スウェーデンの音楽制作サービスでレーベルを運営する「Epidemic Sound」から同社の楽曲を無断盗用したUGC動画数万個以上がアップロードされているという著作権侵害の訴訟に直面しています。Epidemic Soundは著作権侵害の対象曲1曲ごとに15万ドル(約2100万円)の損害賠償、最低でも総額1億4200万ドル(約195億円)の損害賠償を求めるとしています。

Epidemic Soundは、大手音楽法律事務所Pryor Cashmanを代理人を通じてサンフランシスコ市の米国連邦地方裁判所に訴訟を提出しました。Epidemicによれば、MetaはFacebookやInstagramのユーザーがUGC動画を作成し共有できるよう「音楽ライブラリー」を提供していますが、Epidemic Soundが著作権を持つ約1000曲のライセンス締結をMetaが拒否し、無許諾で使用。Epidemicからの再三の侵害の通知と侵害を阻止するためのツールへのアクセス要求も無視している、と訴えています。

FacebookとInstagramでは1日あたり8万個以上の動画でEpidemic Soundの楽曲が無断で盗用されており、MetaのプラットフォームでEpidemicの楽曲を使用したコンテンツの約94%は無許諾であり、著作権侵害である、と主張します。

Metaは、音楽ライブラリを活用したユーザーがUGC動画を投稿できるようにしていますが、同時にInstagramの「オリジナルオーディオ」やリールのリミックス機能によって生成されるUGC動画では、既存の投稿動画を二次利用できる仕様になっていることから、無許可で使用されたEpidemic Soundの楽曲がさらに増える構造になっていました。

Epidemic Soundのサービスを利用するインフルエンサーは、FacebookやInstagramだけでなく、YouTube、Twitch、TikTokなど他のプラットフォームでも、その音楽を動画で使用することが許可されています。つまり、彼らのFacebookやInstagramの動画は完全にライセンスされているのです。

訴訟では、Epidemic Soundの楽曲が無許可で仕様されていた権利侵害に加えて、Metaがライセンスの無い楽曲を使って動画投稿するよう、ユーザーを積極的に促していたかどうかも焦点になっています。Epidemic Soundは「Metaの行動の結果、弊社の楽曲は何百万個の動画で利用出来るようになり、何十億回も再生されています」と主張します。