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突如Spotifyで配信を始め、瞬く間に大量のリスナーを獲得して話題となった架空のバンド「The Velvet Sundown」。音楽だけでなくバンドの存在自体が生成AIによって作られたことが当初から指摘されてきた同バンドに対して、彼らの楽曲には音楽生成AI「Suno」が用いられたことや、Spotifyリスナーが急増した背景にプレイリストの人的操作の可能性など、様々な憶測が投げかけられて来ました。こうした間にも彼らの注目は高まる一方で、Spotify月間リスナー数は、先週の記事執筆時 (6月2日時点)は63万人を超えていたところから、現時点 (6月9日時点)では114万人を突破して、さらに増加しています。

Spotifyで63万人以上の月間リスナー数を短期間で稼いだ「生成AI疑惑アーティスト」

バンド側は、自分たちがAI生成ではなくカリフォルニアのガレージバンドとの主張し、疑惑を否定してきましたが、7月6日、Spotifyのプロフィールを更新し、公式にAI生成プロジェクトであったことを認める内容に書き換えました。

 「The Velvet Sundownは、人間のクリエイティブディレクションに基づき、AIの支援を得て作曲・歌唱・ビジュアル化されたシンセティック音楽プロジェクトです。これはトリックではなく“鏡”です。AI時代における作家性、アイデンティティ、そして音楽そのものの未来の境界線に挑戦する現在進行中の芸術的挑発です。すべてのキャラクター、ストーリー、音楽、声、歌詞は、創作の道具として用いられたAIツールの支援を受けて生成されたオリジナル作品です」

更に、バンドのスポークスパーソンで準メンバーを名乗るアンドリュー・フレロン (Andrew Frelon)は、ローリング・ストーンの取材に対して、楽曲制作に「Suno」を用いたことを認めました。

生成AIの使用を認めたことによって、今後、音楽ストリーミングサービス各社や、ディストリビューターがどのような対応を図るか、関心が高まります。バンドは既に2枚のアルバムをディストリビューションサービスの「DistroKid」を通じて、Spotify、Apple Music、Amazon Musicなど主要なDSPで配信済みです。7月14日には新アルバム『Paper Sun Rebellion』の配信も予定されています。音楽ストリーミングのDeezerは、バンドの楽曲に生成AIが活用されたタグを付与し、レコメンデーション・アルゴリズムから排除するなどの対処法を取っています。Spotifyなど、他のDSPがレコメンデーションやプレイリストからバンドの楽曲を除外するなど、音楽生成AI楽曲としての処置を取るか否か、音楽業界全体が注目しています。