FacebookやInstagram、Threadsなどを運営するMetaのマーク・ザッカーバーグCEOは「Instagramの月間アクティブユーザー数が30億人に到達した」と自身のThreadsに投稿し新たなマイルストーンを発表した。投稿には人気ドラマ『ブレイキング・バッド』の有名なシーンを引用したミーム「billions with a b」を引用し、依存性の高い麻薬製品を作り、徐々に悪名高い支配者へと変貌していく主人公とSNSの成長と重ね合わせたものとも解釈できる。

Instagramのユーザー数は未だに成長が続いている。2022年10月に20億人を突破してから、約3年でさらに10億人を純増させている。これは月間平均2,860万人の新規ユーザーを獲得してきた計算となる。Metaでは、今年初めにFacebookとWhatsAppが30億ユーザーを突破している。Metaは2024年4月以降、FacebookやInstagramなどアプリの月間・日次アクティブユーザー数を四半期ごとに開示しない方針へ切り替えた。その代わり、アプリ全体における日次アクティブユーザー数 (DAP、Daily Active People)を報告しており、7月の最新数値によれば、DAPは34億8000万以上だった。

このタイミングで、Instagramの責任者、アダム・モッセーリ (Adam Mosseri) は、ブルームバーグとのインタビューで、今後の戦略を語った。モッセーリは、Instagramでは、今後DMとリール動画の機能がより強調されることを示した。アプリのメインのナビゲーションでは今後はDMとリール動画が多くを占めるようになり、すでにインドでは、アプリ起動時に従来のフィードではなくリール動画を直接表示するテストが実施されている。

「過去数年の成長の多くは、DM、Reels、そしてレコメンデーションによって牽引されてきました。そのため、今後もこれらの製品に注力し、アプリ全体をDM、Reels、レコメンデーション中心に再編します」と語っている。

モッセーリは、今後数ヶ月以内にリール動画のレコメンデーション・アルゴリズムをユーザーが調整できる仕組みを試験導入する予定があり、その後にはInstagramの他のフィード内にも拡張される可能性を示唆した。

リール動画重視への移行は、音楽業界やアーティストのInstagram活用に多大な影響を与える可能性が高い。また、DM機能への注力は、今後より「一斉配信チャンネル」(Broadcast Channels)の活用を後押しする可能性もあり、チャンネル登録するユーザーをスーパーファンと捉え、限定グッズの販売やライブ・チケットの優先アクセスなど、エンゲージメントの高いスーパーファンに向けた交流が活性化するかもしれない。

一方、Instagramがライバル視するTikTokもメッセージ機能を強化している。また、YouTubeもYouTubeショートなどでクリエイターとトップファンを結びつける機能を拡充している。各社の動きは、広域の波及効果に期待するのではなく、コア・ファンや親和性の高いユーザーに向けた直接的な交流や動画コンテンツの投稿を促進していると捉えることができる。今後のアーティストのSNS運営やマーケティング戦略は、アーティストとファンとの交流や、ユーザー同士でシェアするショート動画に移行していくかもしれない。