Spotifyは、同社最大の個人ポッドキャスト配信者とのパートナーシップ契約を更新した。

アメリカ人ポッドキャスターのジョー・ローガンとSpotifyは、人気番組『The Joe Rogan Experience』(ザ・ジョー・ローガン・エクスペリエンス、JRE)と新たな複数年ライセンス契約を締結した。2020年に始まった両社の提携は延長され長期契約となる。

同契約では、Spotifyはローガンの番組に関するライセンスおよび広告販売の権利も獲得すると、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

今回の契約条件は公表されていないが、関係者によれば、その内容は2024年に結んだ条件と同様と見られている。その中には、複数のプラットフォームで配信する契約も含まれる。ローガンは同契約で推定2億5000万ドル規模の収益を得ると見られている。

Spotifyによれば、ローガンの番組はフォロワー数で1,800万人以上を有し、提携以来、6年連続で、同プラットフォーム上で世界的に最も人気ある番組の座を守り続けている。新エピソードはSpotifyで毎週配信されるが、Apple PodcastsやYouTubeなど他社のプラットフォームでも視聴できる。

Spotifyによれば、ローガンの番組は、2025年に主要ポッドキャスト配信プラットフォーム全てでトップの人気を誇った。

これまでの契約の経緯を振り返ってみると、2020年に入り、Spotifyはオーディオ戦略を推し進めるため、既に知名度あるローガンと独占配信の複数年契約を締結した。

Spotifyは同時期、発信力あるセレブリティや話題性の高いインフルエンサーと独占契約を強化した。ローガンをはじめ、アディソン・レイ (Addison Rae)、エイヴァ・デュヴァーネイ (Ava DuVernay)、元イギリス王室のヘンリー王子とメーガン・マークル (Meghan Markle)など多くが、Spotifyでの独占配信や番組制作で契約を交わした。

それから6年が、Spotifyのポッドキャスト戦略は、新たな展開を迎えている。今回のローガンとの契約のように、大型番組を独占配信することに以前ほど拘っていない。それよりも同社が重視するのは、繰り返し番組に戻ってくる熱量高い視聴習慣を持つオーディエンスとの関係だ。

これは、Spotifyが動画ポッドキャストと配信者向けインフラへ投資し続ける大きな理由だ。同社は自社プラットフォームを単にオーディオコンテンツの配信場所ではなく、番組配信者が熱心なリスナーを毎回呼び戻し、クリエイターエコノミーを拡大するための場所として設計している。

Spotifyは、番組を視聴するために戻ってきたユーザーが、新たな番組と出会う仕組みを増やし、配信者には持続的な収益化やオーディエンスを維持する機能を充実させる。

一過性のコンテンツの話題性や消費しやすいショート動画形式ではなく、音声と動画の両方で、長時間のインタビュー番組として構成されるローガンの番組は、まさにSpotifyがポッドキャストに期待する、オーディエンスとパーソナリティとの強い持続性を象徴している。

個人クリエイターとオーディエンスとの間に生まれるリピート視聴習慣は、独占配信よりも大きな価値を持つと、Spotifyは捉えているのではないか? ポッドキャスト市場で成長し続け、業界1位の座を維持するには、番組数やエピソード数を増やすだけでは実現できない。独占配信では、オーディエンスを広げられない。リピート視聴する持続性高いオーディエンスの獲得が、重要となっていることを示唆している。

投稿者

  • ジェイ・コウガミ

    ジェイ・コウガミは、Music Ally Japanのエディトリアル・ディレクターで、ニュースレター記事執筆、イベントおよびカンファレンスのモデレーターを担当しています。