2025年初め、音楽ストリーミングサービスのDeezerに1日あたり追加される「完全にAIで生成された楽曲」は約1万曲で、全追加楽曲の10%を占めていた。それが同年11月には1日5万曲、全体の34%へ急増した。この流れはさらに加速している。Deezerが公表した最新数値によれば、現在同社プラットフォームには1にち6万曲以上の完全AI生成楽曲が追加されている。これは全体の39%に相当する。Deezerは独自のツールを駆使して、2025年通年だけで、完全AI生成楽曲を1,340万曲以上検出しタグ付けした。
完全AI生成楽曲の影響は再生にも現れ始めている。現在Deezer全体の再生数のうち「1〜3%」を占める。これは2025年9月時点の0.5%からさらに上昇している。さらに、同社は、AI生成楽曲の再生は最大85%が不正再生だったことも明らかにした。これらは、人間のリスナーによる再生ではなく、ボットなどの再生で、ロイヤリティ収益を不正に取得する目的で実行されるケースが多いと見られる。不正再生行為は2025年9月時点の70%からさらに上昇した。また全カタログにおける不正再生比率は2025年通年で8%だったことから、AI生成楽曲が不正再生に利用される規模が突出していることが分かる。
同社CEOのアレクシス・ランテルニエ (Alexis Lanternier)は、AI生成音楽が人間の創作と区別が付きにくくなる中、透明性の確保と、アーティストおよびソングライターの権利保護の最優先を強調する。そして、今後、DeezerのAI生成音楽検知ツールを外部のストリーミングサービスや音楽企業に開放し、技術をライセンス提供することを明らかにした。すでにSACEMを含む業界大手とのテストが成功したことにも触れた。Deezerは、この検知ツールがSunoやUdioといった主要な生成モデルを使ったAI生成音楽を検知できると述べている。また、サンプル数が揃えば、他の類似ツールにも検知対象を拡張可能だとも説明する。
Deezerによれば、AI生成音楽は単に配信される楽曲数だけでなく、不正再生とセットで増える構造があることに警鐘を鳴らし、単独のDSPの努力では限界があると述べる。そして、業界を横断した検知、タグ付け、収益化停止のルールを整備する必要性を訴える。CISACとPMP Strategyが行ったAI生成音楽の経済的影響に関する調査によれば、2028年までに、生成AIコンテンツの浸透が広がり、音楽クリエイターの収益の24%が損失のリスクにさらされる可能性があるという。
