
K-POPアーティスト・マネジメント大手のHYBEは、インド進出をついに発表しました。インドの現地法人は9-10月頃の立ち上げを目指し、現地市場の調査および法人設立に関する実務を進めていきます。HYBEは先月、中国・北京に新オフィスを開設した発表を行ったばかりで、同社のインド法人は、日本、アメリカ、中南米に続く4番目のグローバル拠点となります。
HYBEは、K-POPメソッドの海外輸出と各国ローカライズ戦略を進めています。厳格なトレーニング、ストーリーテリング、ファン中心のエンゲージメント、といった基礎的要素を維持しつつ、地域に根付いたアーティスト育成および制作システムを構築する「マルチホーム・マルチジャンル戦略」を推し進めています。HYBEによれば、この戦略を通じて、K-POPビジネスと他国ジャンルや現地文化をシームレスに融合させることで、海外市場での支配的地位の獲得を目指す目的があります。
インド進出は、この戦略をさらに進める次なる一手となります。HYBEは、すでに中南米市場にこの戦略で進出しており、2023年にメキシコのExile Musicを買収、2024年に中南米法人を設立しました。今年4月にはコロンビア・メデジンに、アーティスト育成専用の施設を開設。6月にはスペイン語圏最大のテレビ局Telemundoと協業し、オーディション番組を立ち上げたり、新たなボーイズグループを発掘するオーディションを始めました。
HYBEの広報担当者は、インド進出にあたり、次のように述べています「世界の主要な音楽市場に拠点を構築し、メソッドを適用するというHYBEの戦略は、すでに成果を出し始めています。この傾向が続けば、現在いわゆる『グローバル・ビッグスリー』企業が支配するグローバル音楽市場の構図は、大きく変化すると予測されます」 (補足:グローバル・ビッグスリー = メジャーレコード会社3社)
HYBEはインド市場をどのように攻略していくのでしょうか? インドでは近年、K-POPの消費やファンダム文化が高い人気を集ている勢いを受けて、K-POPのローカライズ戦略が適用されれば、インドの音楽文化を持ちつつ、韓国流のトレーニングで育成された、インド発のグローバルアーティストが誕生する可能性があります。注目されるのは、HYBEがどのメソッドをインドの文化に合わせてカスタマイズするかの点です。現地の言語を使った多言語で楽曲をリリースするインド拠点のインディアン・ポップ (I-POP)グループか? 現地の放送局と提携したオーディション番組の制作か? インド各地にHYBE独自の育成施設の設立か?
もっとも、インド進出を強化するのはHYBEだけではありません。ソニーミュージック・インディアは、I-POPガールズグループ「W.i.S.H.」を2024年3月にデビューさせました。