投稿公開日:2025-09-25 投稿カテゴリー:AI / 音楽ストリーミング メジャーレコード会社による音楽生成AIスタートアップ「Suno」に対する訴訟に進展があった。レコード会社は、SunoがYouTubeから違法に楽曲をコピーして同社の音楽AIモデルの学習に用いたと主張した。米国レコード協会 (RIAA)から新たに提出された訴状の修正板では「Sunoは、学習データに含まれる多数(あるいは全て)の著作権付き音源を、海賊行為である『ストリーミング』リッピングを用いてYouTubeから不正にダウンロードし、取得したコンテンツをダウンロード可能なファイルに変換、無許可コピー防止対策を開始した」と同社を非難している。RIAAの指摘は、音楽出版業界団体「国際音楽出版社連合」(ICMP)が発表した、SunoがYouTubeの暗号化技術を回避して、違法な方法でデータを取得したことに関する調査報告に基づいている。修正訴状では、Sunoは数十年分にわたる世界で最も人気ある音源をレコード会社の許諾なくAIモデルの学習に取り込んだと主張している。RIAAは、著作権侵害1件につき最大15万ドル (約2200万円)、技術的保護の回避1件につき2,500ドル (約37万円)の損害賠償を求めている。Sunoは学習データセットを公開しておらず、またデータ取得方法についても明らかにしていない。しかし同社は、著作権保護作品を自社のAIモデルの学習に使用することは「フェアユース」の原則に基づいた合法な手法であるとを主張してきた。米国では、著作権のある作品を許諾なくAIの学習に利用することがフェアユースに当たるか、明確な司法判断が下されていない。仮にフェアユースが認められたとしても、不正な手段でコンテンツを取得していた場合、あるいは疑わしい行為がある場合には法的リスクが残る。先日、生成AIスタートアップ「Anthropic」は、同社のAIモデル「Claude」の学習に著作物を不正に使用されたとして書籍著者らが起こした集団訴訟で15億ドル (約2200億円)の和解に応じた。訴訟では約700万冊の書籍データを海賊行為でダウンロード取得したことが明らかにされており、著作権作品1件あたり最大15万ドルの損害賠償に直面していたため、和解に応じる道を選んだと見られている。RIAAとメジャーレコード会社も、Sunoに対して同様のアプローチで、和解交渉に引き込むことを狙っていると考えられる。訴状はこちらから読むことができる。