Spotifyは、新しい料金プランを発表しました。米国で登場したのは、新しい「ベーシック」プランは、音楽とポッドキャスト再生に特化したプランで、月額10.99ドル (約1,750円、1ドル159円換算)で提供されます。新しいプランは、現行のプレミアム個人プランより1ドル低く設定されます。プレミアム・プランでは、引き続き、音楽、ポッドキャスト、月15時間のオーディオブック再生が利用可能で、月額料金は11.99ドル (約1,910円)です。Spotifyのプランでは、オーディオブック再生に注力した「オーディオブック・アクセス」プランが月額9.99ドル (約1,600円)と最も安価な価格です。

Spotifyはブログで「米国のサブスクリプション利用者により多くの選択肢を提供します」と、新プランの導入を説明しました。新規にSpotifyに登録したユーザーには、ベーシックプランまたはプレミアムプランを選択するオプションが提供されます。今後、Spotifyがこの新プランを、どのように米国でプロモーションしていくか、どのような販売戦略を行うか、注目されます。また、新プランの導入によって、アーティストやレコード会社、ソングライター、音楽出版社、権利者に対して、収益分配やプロモーションの機会などで、どんな変化が起こるか、注視することも重要です。

Spotifyがバンドルプランで支払う低い分配料率を問題視、音楽出版の業界団体NMPAが反対

オーディオブック再生を除いたベーシックプランの登場は、音楽出版業界やソングライターから高まっている批判に対する対応と見られます。Spotifyは、今年3月、現行のプレミアム・プランに、音楽とオーディオブックの再生を組み合わせた「バンドル」として再分類しました。これで、Spotifyは、米国の音楽出版社やソングライターに対して支払うメカニカル・ライツ (録音権)のロイヤリティ料分配を低い料率で支払うことができるようになりました。この行為は、ソングライターに対して不利益をもたらすとして、米国の音楽出版業界団体のNMPAを筆頭に、ソングライター、さらには米国議員が猛反対しており、激しい批判が巻き起こりました。米Billboardの推測によれば、Spotifyの変更により、音楽出版社やソングライターは、変更初年度に、約1億5000万ドル (約240億円)の年間ロイヤリティ収入を失う見込みであり、収益が一方的に下がる音楽出版社業界や権利者にとっては、大きな損失です。

新プランの導入に先立ち、Spotifyは今年、米国で2年間で二度目の値上げを実施しました。プレミアムプランは11.99ドル、Duoプランは16.99ドル、ファミリープランは19.99ドルへ値上げしました。また、年内には、さらに、高音質再生に対応した、高価格プランの登場も噂されており、こちらは、個人向けプレミアムプランよりも5ドル以上の価格に設定されると云われています。

Spotify、高価格な料金プランを年内に導入へ。追加課金で、高音質再生、プレイリスト生成などの機能が利用可能に