音楽生成AIスタートアップ「Suno」は、インディーレーベル向けのグローバル・デジタルライセンス・エージェンシー「Merlin」の前CEOのジェレミー・シロタ (Jeremy Sirota)が、同社の新たなチーフ・コマーシャル・オフィサー (CCO)に就任すると発表した。同氏は2025年12月でMerlinのCEO職を退任したばかりだ。SunoではCEOのマイキー・シュルマン (Mikey Shulman)に直接報告する。シロタは、Sunoのビジネス戦略、音楽業界との関係構築、プラットフォームとの連携、エンタープライズ向けソリューション事業を統括する。

シロタは声明で「Sunoは、これまで存在していなかった新しい創造性と繋がりの新たな階層を構築しています。私は業界とともにこのビジョンの実現に貢献することに大きな意欲を感じています」と述べた。シロタ在籍中のMerlinは生成AI企業との連携を積極的に行った。2025年8月には、音楽生成AIスタートアップの「ElevenLabs」とライセンス契約で合意している。加えて、2026年1月には音楽生成AIの「Udio」ともライセンス契約で合意した。ElevenLabsとの契約では、Merlinメンバーであるレーベルが配信する楽曲ではなく、プロダクション・ミュージックが用いられるが、その後にリリース予定の「Pro」バージョンでは、Merlinメンバーの楽曲と、音楽出版大手Kobaltとの契約を通じた楽曲データが学習される予定だ。

シロタはMerlin時代、音楽生成AI企業に対して、無許可の楽曲やIP、権利の学習は著作権侵害であると断言する強い影響力を持っていた。昨年9月、Music Allyのスチュアート・ドレッジとのインタビューでは「解決しなければならない大きな課題が数多く存在します。許可なく音楽をAIモデルの学習に使用することは著作権侵害であり、誰も行うべきではありません。これは単純な話です。なぜ今も議論の余地があるのか理解できません!」と主張していた。

Sunoは、メジャーレコード会社からの著作権侵害訴訟に直面している。2024年6月には、全米レコード協会 (RIAA)がメジャーレコード会社を代表して、SunoとUdioを大規模な著作権侵害で提訴した。Sunoは現在も、ユニバーサル ミュージック、ソニー・ミュージックと訴訟が続いており、加えて、ドイツのGEMAやデンマークのKodaといった著作権監理団体からも訴えられている。

Sunoが音楽業界の重要職から人材を採用するのは、シロタが初めてではない。2025年7月には、ワーナー・ミュージック・グループのアトランティック・レコードでゼネラルマネジャーなど、20年以上に渡って様々な役職を歴任したポール・シンクレア (Paul Sinclair)が、チーフ・ミュージック・オフィサーに就任している。