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世界的に利用者の増加が続く、ソーシャルゲームプラットフォーム「Roblox」は、2020年後半に予定していた新規株式上場(IPO)を延期することを決定しました。そして2021年に入り、新たに5億2000万ドル(約540億5000万円)を投資家から資金調達しました。これによりRobloxの評価額は295億ドル(約3兆600億円)まで引き上がりました。

Robloxの新たな投資家には、ワーナーミュージック・グループが名を連ねました。Billboardによれば、ワーナーミュージックの出資額は「8桁」となっており、正確な金額は明らかにされていません。しかし、ワーナーミュージックがRobloxに長年注目してきたことは明らかで、早い段階からRobloxとの音楽マーケティングの取り組みを行ったレコード会社の一つでした。

2020年9月に、アトランティック・レコードと契約するアメリカ人シンガーソングライター、エイバ・マックスがアルバム・ローンチイベントをRoblox内で行い、120万人近くのファンがゲーム内イベントに参加しました。

Music Allyが2020年に主催した音楽カンファレンス「NY:LON Connect」に登壇した、The Orchardの共同創業者で、ワーナーミュージック・グループのチーフ・イノベーション・オフィサーのスコット・コーエンは、集まった音楽業界関係者に向けてRobloxの重要性を次のように述べました「このプラットフォームには月間1億人以上のアクティブユーザーがいますが、(NY:LON Connectの会場)ここにいるほとんどの人は聞いたことがないのではないでしょうか?Robloxはターゲットとなるユーザーがいる場所であり、子供や若者が集まる場所でもあります」

エイバ・マックスのイベントに加えて、2020年11月にLil Nax XがRobloxで行ったバーチャルライブに3300万人以上のファンを集めた影響力は、Robloxが今後どのようにアーティストやレーベルと連携していくかを示す指標となっています。

一方で、Robloxは、音楽業界との関係構築を模索している状態とも言えます。以前、MonstercatなどインディーレーベルとRobloxは連携して、ゲームクリエイター・コミュニティが使用できる音楽カタログを構築してきましたが、プロモーション方法が一部の権利者からの怒りを買ってしまいました。

多くのSNSやコミュニティプラットフォームと同様に、Robloxと音楽業界との間に緊張関係が生じる可能性は十分にあります。IPO申請書によれば、Robloxはオーディオモニタリング技術を導入して、クリエイターが勝手にアップロードした著作権で保護された楽曲を検出し削除していることを明らかにしています。一部のレーベルや出版社はRobloxに対して「プラットフォームにアップロードされたコンテンツが著作権を侵害した場合、損害賠償を求める可能性がある」と述べています。