Apple Musicは、AIを使った音楽をリスナーが把握できるクレジット表記で、AI音楽に対する透明性の向上やポリシー整備を強化する。今回発表したのは、レコード会社やディストリビューターが楽曲を納品する際、メタデータに「透明性タグ」を付けて納品するAIタグ付けを開始する。3月4日以降利用可能で、新規納品する楽曲では必須となる。

透明性タグが義務付けられるのは以下の4つのカテゴリーとなる。AIタグはトラック毎に紐付けが必須。

  • アートワーク:アルバムのジャケット、静止画、モーションアートワークなどにAIが使われた場合
  • トラック:サウンドレコーディング
  • 作曲・作詞:歌詞を含む
  • ミュージックビデオ


重要な点は、Apple Musicはタグ付けの基準を「重要な部分」(Material Portion)にAIを使用した場合、と定義していることだ。また、何を持ってAI生成と判断するか、AI生成の使用度合いは、ジャンルやクレジットなどのメタデータと同様に、コンテンツを提供するレーベルやディストリビューター各社の判断に委ねられる。複数のタグの同時付与も可能となる。

同社はタグ付けの運用は「コンテンツを正しくタグ付けすることは、音楽業界がAIに関する熟考したポリシーを策定するために必要なデータとツールを提供する第一歩です。レーベルとディストリビューターは、AIを用いて制作されたコンテンツを納品する場合、積極的に報告する役割を担う必要があると考えます」と説明している。

注目したいのは、同じくAIタグ表示を進めているSpotifyとの違いや整合性だ。Spotifyは2025年9月、DDEXコンソーシアムが策定した、AI音楽クレジットの業界標準への支持を表明した。Spotifyは今後、レーベルやディストリビューターなどから納品される楽曲で、AI利用をクレジットとして表示する仕組みを導入する。AI生成のボーカルや楽器、ポストプロダクション、ミックス、マスタリングなどでAIが使用された楽曲が対象となる予定だ。

一方で、Apple Musicの透明性タグ付けは、アートワーク・楽曲・作詞作曲・ミュージックビデオの4つのカテゴリーに分類される。両社は、サービスや製品開発の思想が異なるため、Appleが独自路線を進める場合、DDEX標準がどこまで音楽業界の標準となるか、疑問が残る。

AI利用が未申告の楽曲はどう扱われるか。この問いにはApple Musicは明確な回答をしていない。同社はすでにストリーミング詐欺、不正再生、水増し行為、人的・機械による違法再生が発覚した際、レーベルやディストリビューターに金銭的ペナルティを課す方針を導入している。AI利用の非開示は透明性の欠如として、何かしらのペナルティが課される可能性もある。