BTSが、新たに設立された部門への抗議の意を込めて、2027年2月の第69回グラミー賞への出品 (エントリー)を見送るという決断を下したことで、「アジアン・ポップ」音楽を独立した部門として称えようとするグラミー賞の構想に、大きな穴が開いた。
しかし、変化の兆しがすでに見え始めている。グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーのCEOを務めるハーヴィー・メイソン・ジュニア (Harvey Mason Jr.)は8月14日(金)に声明を発表し、次のように述べた。
「過去2週間にわたり、多くの関係者と幾度も対話を重ねてきた中で明らかになったのは、我々がより一層の包括性を目指す意図や願いとは裏腹に、この領域で活動するアーティストの中には、今回のカテゴリーは彼らが懸命な創作活動で作り上げた音楽を、彼らの望む形で反映していないと感じている人々がいることです。私自身もミュージシャンの一人として、その声を重く受け止めています」
メイソンをはじめ、グラミー賞運営に携わる幹部は、今回のBTSのボイコットを受けて、K-POP、J-POP、C-POP、インド音楽などの各シーンを代表する音楽関係者、ミュージシャン、レーベル、マネージャー、さらにはHYBEと、この新部門について対話を重ねてきた。
また、レコーディング・アカデミーは、「アジア・ポップ」部門に関するさらなる助言を聴くべく、理事会と賞およびノミネート委員会を開催した。さらに、同団体は、新たな部門や賞の設立手順の見直しを検討することも明らかにした。
ただし、具体的な対策については、何も発表されていない。
メイソンは、BTSの出品見送りが明らかになった後、7月29日に発表した声明ではこのように述べていた「BTSが今年のグラミー賞の選考プロセスに参加しないという選択をしたことを残念に思いますが、音楽の作り手として、彼らの決断を理解し尊重します。(中略)『アジアン・ポップ』部門は、アジアから生まれるポップ・アーティストの深い芸術性、多様性、そして目覚ましい成長を称えるために新設されました。この新部門の精神は、この領域における重要なアーティストたちに特別なスポットライトを当てることです。部門が増えるということは、より多くのアーティストの作品が評価されることにつながります。決して分断を招くものではなく、1万5,000人のグラミー賞投票者によって評価されるアーティストの裾野を広げるためです」
なお、近年はグラミー賞にエントリーしないアーティストも増えている。
ドレイク、ザ・ウィークエンド、モーガン・ウォーレン、ザック・ブライアン、フランク・オーシャンなどのヒット作品をリリースしてきた著名アーティストたちは、グラミー賞の選考プロセスに抗議を示す意で、同賞への参加を拒否してきた。
部門の基準を見直し、改めてBTSに出品を説得する猶予はあまり残されていない。
それが再編された「アジアン・ポップ」部門であれ、他の部門であれ。
