世界中の原盤音楽業界を代表する国際業界団体のIFPI(国際レコード産業連盟)は、参加企業と共に、ストリーミング不正・詐欺の防止、検知、対応に関する基本的な取り組みにコミットする新たな取り組み「ストリーミング・インテグリティ・イニシアチブ(SII)」を立ち上げた

SIIの開始にあたり、世界から名だたる音楽企業、主要な音楽ディストリビューターが参加を表明している。

メジャー3社に加えて、韓国のHYBEや、IMPALAやMerlinなどインディペンデント音楽業界を代表する団体も参加している。

この取り組みの目的は、不正なコンテンツや詐欺狙いのコンテンツがストリーミングプラットフォームに到達することを未然に防ぐ狙いで設計されている。そのため、この取り組みの主な対象はディストリビューターとレーベルで、ストリーミングサービスではない。

https://endstreamingfraud.com/streaming-integrity-initiative

これまでに支持を表明した企業・団体は以下の通り
Absolute Label Services
ADA
AWAL
CD Baby
CmdShft
Ditto Music
FUGA
GoDigital
HYBE
IDOL
IMPALA
InnerCat Music Group
Merlin
Redeye
Revelator
RouteNote
Secretly Distribution
Symphonic
Sony Music Group
The Orchard
Too Lost
Universal Music Group
Virgin Music Group
Warner Music Group

注目すべきは、DIYアーティスト向けの音楽ディストリビューター最大手のDistroKidをはじめ、Believe、TuneCore、TikTok傘下のSoundOn、UnitedMastersなどは参加していないことである。

ただし、同イニシアチブは本格的に開始した段階で、今後これらの企業が加わる可能性がある。

SIIへの参加企業は5つの基本的コミットメントに署名する
・権利保有および本人であることを検証するための本人確認
・侵害行為、不正行為、AI関連のリスクを識別するための効果的なツールおよびプロセスを用いたコンテンツの審査
・常習的な違反者を含む不正行為者の検知、調査、措置
・同業他社間での法的な許容範囲での情報共有と、違反者のサービス間での行き来の防止
・自社の不正対策システムの継続的な強化と評価

特にSIIが問題視するのは、近年、深刻化が進むストリーミング不正再生や水増し再生、詐欺行為で、これらの問題への対策強化を業界連携を通じて図る狙いがある。

これらの不正行為は、アーティストや権利者は本来受け取るべき収益から毎年数億ドル、数十億ドル規模の損失をもたらしているとされる。

生成AIの発展と普及もこれらの脅威をさらに助長しており、悪質な業者による不正再生と収益の窃取、違法なボットファームの活動規模の拡大などを容易にしている。

SIIは、ストリーミング不正問題への認知向上を目的とした、IFPI主導のより広範なキャンペーン「エンド・ストリーミング・フロード」(End Streaming Fraud)」の一環である。

IFPIのCEOであるIFPIのCEOであるヴィクトリア・オークリー(Victoria Oakley)は声明の中で次のように述べた「ストリーミング不正は、ファンを欺き、正当なアーティストやソングライターが本来受け取るべき収益を奪っています。これは端的に言えば窃盗です。ストリーミング・インテグリティ・イニシアチブを公に支持するディストリビューター各社が示したリーダーシップを我々は歓迎します。この動きが、アーティスト、ソングライター、そしてファンをストリーミング不正から守るための直接的かつ効果的で協調的な行動につながることを期待しています」

Merlinのコンテンツ・インテグリティ担当ディレクターであるサラ・マクナブ(Sarah McNabb)は次のように述べた「不正行為に効果的に対処するには、業界のあらゆる部分が一体となって動く必要があります。これらのコミットメントは、Merlin自身の立場を反映するもので、私たちの会員に求めている内容と密接に合致しています。会員の多くが発表に名を連ねてくれていることを心強く思います。このイニシアチブが今後も拡大していく中で、IFPIとともにこの取り組みに参加できることを嬉しく思います」

欧州のインディペンデントレーベルや音楽業界団体を代表するIMPALAの議長を務めるヘレン・スミス(Helen Smith)は、次のように述べた。「今年前半に採択されたIMPALAの『デジタル・ミュージック・プラン』は、市場拡大に向けた我々の提言を反映しており、業界連携を新たな規模で最優先事項として位置づけました。DSP、レーベル、ディストリビューターに対する提言を含め、誠実性確保に向けた連携、人間のアーティストによる活動の推進、そしてサプライチェーン全体にわたるその他の重要な側面への取り組みは不可欠です」

投稿者

  • ジェイ・コウガミ

    ジェイ・コウガミは、Music Ally Japanのエディトリアル・ディレクターで、ニュースレター記事執筆、イベントおよびカンファレンスのモデレーターを担当しています。