
音楽ストリーミングサービスのDeezerは、音楽業界で初となるAI音楽のタグ付け機能を発表しました。これは、音楽AIで生成された楽曲を含むアルバムを識別するラベルが表示される仕組みで、リアルなアーティストと生成AIを用いた楽曲とを区別することで、Deezerユーザーや音楽ファンに対する透明性と信頼の提供と、急増するAI生成楽曲の配信への対策を目的としています。
Deezerは、AI音楽を高精度で検出するツールの導入を始めるなど、生成AIを使った音楽に対する取り組みに積極的な姿勢を示してきました。このツールは、特にSunoやUdioといった現在最も利用される音楽生成AIで作られた楽曲を検出できる精度を持ちます。また、Deezerは、アーティストの収益保護と、ユーザー体験の質を維持するため、アルゴリズムによるレコメンデーションや、エディトリアル・プレイリストからAI生成楽曲を除外しており、アーティストやクリエイターの権利保護、ユーザーの信頼確保に配慮した取り組みを進めています。
DeezerのCEOであるアレクシス・ランテルニエ (Alexis Lanternier)は、次のように述べます「ここ数カ月で、AI生成音楽の配信数が著しく増加していることを検知しました。この傾向は、今後も加速します。これは業界全体の課題です。私たちは、音楽ファンがAI生成楽曲を含むアルバムを特定できるよう支援することで、透明性を向上する取り組みをリードすることを目指しています」
「AIは本質的な良いものでも悪いものでもありません。責任と透明性あるアプローチが、ユーザーや音楽業界との信頼構築に繋がると私たちは考えています。またAIモデルの学習における著作権法が問題視される昨今、私たちはアーティストやソングライターの権利を守るというコミットメントを明確に示しています」
Deezerの検出ツールによる分析では、同サービスに毎日アップロードされる楽曲の1/5にあたる約20,000曲は、完全なAI音楽であることが分かっています。また、配信する楽曲のうち、AI音楽の再生比率は全体の0.5%で、それらの70%は不正な人的再生やボットによる再生水増しなどの不正再生が目的であると述べています。Deezerは不正再生や違法行為に該当する再生回数をロイヤリティ支払から削除しており、アーティストが正当な収益分配を受け取れるよう、対応を強化しています。