ソニー・ミュージックは、デジタルプラットフォーム各社に対して、自社アーティストを模したAI生成のディープフェイク楽曲26万件以上の削除申請 (テイクダウン)したことを明らかにした。
フィナンシャル・タイムズの取材によれば、削除申請数は過去6カ月間でほぼ倍増した (2026年9月末時点)。同社のディープフェイク楽曲への対策は拡大傾向にある。
2025年3月時点で7万5,000件以上、2026年3月には13万5,000件以上のAI生成楽曲の削除を申請してきた。
削除対象の楽曲は、「当社のアーティストの歌声や容姿を無許可で模倣する生成AIによるディープフェイク楽曲」で、「大規模に発生している」と指摘する。
こうした行為は「アーティストに害を及ぼし、ファンを誤解させ、AIの倫理的な利用を損なうものだ」と述べている
ソニー・ミュージックが自社内部の最新数値を公開する狙いは明白だ。
音楽業界全体で急速に表面化しつつあるAI生成のディープフェイク楽曲問題、という共通の課題における支援強化を示している。
ソニー・ミュージックはフィナンシャル・タイムズに対して次のようにコメントした「当社は今後もアーティストの権利を守るための処置を講じ続けます。プラットフォーム各社に対し、迅速な対応と、再発防止を要求します。しかし、状況はさらに厳しい戦いになりつつあります」
米国では現在、本人の同意を得ずAI生成した声や容姿のデジタルレプリカやディープフェイクに対処するための法整備が進められている。「No Fakes Act(ノー・フェイク・アウト法案)」だ。
2024年の大統領選挙前に審議時間切れとなったが、その後再提出され、2026年時点で審議されている。
アーティストの中には、独自のディープフェイク対策に乗り出す者も現れた。
テイラー・スウィフトは4月、自身の声や写真の商標申請を出願した。6月にはライオネル・リッチーとバックストリート・ボーイズも続いて申請した。
しかし、SNSやストリーミング・プラットフォーム上のディープフェイクを特定し、テイクダウン通知を提出するという地道な日々の作業は、権利の関係に応じて、レーベルやマネジメントチームが担っているのが実情だ。
ソニー・ミュージックの最新データから判断する限り、叩くべき「もぐら」は急速に増殖している。
