TikTokが展開するディストリビューションサービス「SoundOn」では、最近のグローバルヒットとなったTemper Cityのシングル「Self Aware」の成功事例に注目が集まっている。このヒットは、イスラエルのロックバンドであるTemper CityがSoundOnからリリースしたデビューシングルが世界的ヒットとなった。今年2月のリリース以来、同曲はSpotify単体で1億5000万回以上再生されており、グローバル・バイラルチャートで1位を獲得したのをはじめ、Apple Music、Shazam、SoundCloudなど複数のDSPでも、グローバルおよび各国のチャートで1位または上位に入るなど、世界的な人気を集めている。さらには、デビュー曲にもかかわらず初めて米国のBillboard Hot 100チャート入りも果たすなど、単なる一時的なバイラルヒットに留まらない、長期的なヒットになる兆しを見せ始めている。

SoundOnチームは、同曲のマーケティングをTikTok上で大規模に展開して、バイラルの兆しを世界的に拡大するための支援を行ってきた。同社によれば、すでに同曲は640万以上のUGC投稿で使用され、TikTok上での関連動画の累計視聴数は110億回以上を超えた。ただし、これらのプロモーションは主にTikTok上での展開であるため、TikTok以外の他のDSPでの持続的な再生増加と、プロモーション効果に繋げている。

成功の要因の一つには、今回の配信とマーケティングには、SoundOnだけでなく、ロサンゼルス拠点のインディペンデントレーベル「Thirty Knots」がSoundOnとのパートナーシップで参加している点が挙げられる。SoundOhは同社がディストリビューション、TikTok上のインサイト、音楽マーケティング戦略、アーティスト育成に関するレーベルサービスを提供したと述べている。SoundOnは以前は、アーティストやマネジャーを直接支援するモデルを展開してきたが、「Self Aware」の成功から発せられるメッセージからは、SoundOnが今後はインディペンデント・レーベル向けサービスとしての立ち位置を確立しようとしていることが伺える。

SoundOnは、今回デビューシングルでの成功は、デビューアーティストや新人アーティストの育成に関する音楽市場で今後起こる変化の前触れだと述べている「インディーレーベルから生まれたインディーロックのデビュー曲が、この規模で、しかもこれほどの速度でブレイクしたことは、競争環境が変わりつつある証拠です。「Thirty Knotsはアーティストと楽曲の可能性を見出し、SoundOnがTikTokのグローバルリーチ、初期の兆しを読み取るデータ、兆しを実行に移すプロモーション・キャンペーン力を加えました。これはSoundOnのレーベルサービス・モデルが最も本質的な形式で機能した事例です。先進的なインディーレーベルとSoundOnが連携することで、5年前には到底実現できなかった規模と速度で、新人アーティストをブレイクさせることが可能になりました」とSoundOnのEMEA (ヨーロッパ、中東、アフリカ地域)担当A&Rおよびレーベルサービス責任者であるジェームズ・カッターモール (James Cattermole)は述べた。Music Business Worldwideによれば、SoundOnは今後、会計、収益管理、財務ワークフローのためのツールを展開予定だという。これは、すでにレーベルや事務所と契約するアーティストよりは、こうした専門的な機能を持たないインディペンデント・アーティストおよびレーベル向けに提供される可能性がある。さらに、アーティストの初期のリリース時点から、SpotifyのDiscovery Modeを利用できる機会も提供していくとしている。