Apple Musicは、レーベルやディストリビューターなど各社パートナーに対してメールを送り、今年後半よりリスナーに対して、AIで生成された楽曲を識別する「Made With AI」ラベルを同サービス上で表示すると発表した

ラベル付与の対象となるのは、楽曲、作曲、ミュージックビデオ、またはアートワークの「実質的な部分(material portion)」の制作にAIが使用された場合だ。

ただし、何を実質的な部分とみなすかの判断は「自己申告」で、レーベルやディストリビューターに判断が委ねられる。

加えて、ラベルを表示させるには、レーベルおよびディストリビューターが楽曲をApple Musicに納品する際に、Appleが義務付ける適切なメタデータ「AI透明性タグ」(AIトランスペアレンシータグ」を付与する必要がある。

AI音楽を識別する新たなメタデータの運用については、Apple Musicは今年3月に発表して以降、プラットフォーム側でタグ付けが進められてきた。

今回の発表では、ようやくリスナーの目に見える形で表示が始まる。

Apple Musicが採用する「Made With AI」という表記およびタグの付与は、今年7月、IFPI(国際レコード産業連盟)とRIAA(全米レコード協会)、賛同する業界団体が提案した、AI生成音楽のラベル表示システムを採用するのではなく、Apple独自の方式で進める意向であることを示唆している。

AI音楽をストリーミングサービス上で識別するラベル表示制度、IFPIやRIAAら音楽業界団体が提案 – Music Ally Japan

7月の時点で、これらの業界団体が提案した仕組みでは、「完全にAIが生成した楽曲」と、「AIの支援を受けて制作された楽曲」とを区別する2種類のラベルが想定されていた。

現状では、Apple Musicが採用する「実質的な部分」という判断材料は、彼らの提案と完全には整合していないと見える。

つまり、複数の音楽業界は統一したラベル表示システムの採用を訴えた一方で、Apple Musicはそれとは異なる独自のシステムを採用しようとしている。

Spotifyも独自のシステムとして「AIペルソナ」バッジを展開しているが、同社はそれを業界標準になり得るものとしてPRしている。

ただし、Spotifyのシステムはアーティスト本人のプロフィールにバッジを付与するものであって、AI楽曲が対象ではない。

現時点でSpotifyは、楽曲クレジット欄でのAIタグ表示に留まっており、さらにタグ付けの判断は、楽曲を納品するレーベルやディストリビューターによる自己申告だ。

競合他社と同様、Apple Musicも現在、AI生成音楽の急増という状況に直面している。

同社は4月の時点で、月間アップロード楽曲の3分の1以上が「100% AIによる音楽」であると述べていた。

ただし、Deezerが最近公表した統計データから推測すると、その割合は現在さらに高まっている可能性もある。

投稿者

  • ジェイ・コウガミ

    ジェイ・コウガミは、Music Ally Japanのエディトリアル・ディレクターで、ニュースレター記事執筆、イベントおよびカンファレンスのモデレーターを担当しています。