Deezerがレーベルからの支持を得られた場合、2020年初頭までに、フランスで「ユーザー・セントリック支払い方式(UCPS)」の試験をスタートさせたいと発表した。準備の一環として、Deezerはユーザー・セントリック方式について、音楽ファンに説明するウェブサイトをローンチしている。

簡単に説明すると、ユーザー・セントリック方式は、ユーザーの月額サブスクリプションからのストリーミング使用料を、そのユーザーが実際にその月に聴いたアーティスト間のみで分配するというアイデアだ。ちなみに、現行でストリーミング・サービスによって採用されている「市場シェア」システムでは、ロイヤリティを一度まとめ、すべてのリスナーによるストリーミング総再生数における、各アーティストのシェアに基づいて分配する仕組みとなっている。

Deezerは、ハッシュタグ「#MakeStreamingFair」を使い、Deezer利用者の月額料金のうち、どれくらいが実際に彼らが聴いているアーティストに分配されているか、そしてユーザー・セントリック方式を採用するとその額がどのように変わる可能性があるかを知ることができるツールを提供し、ユーザー・セントリック方式を導入するための努力を強化している。

Deezerによると、すでに40社以上のレーベルが賛成しているとのこと。ただし、三大メジャー・レーベルや大手インディーの支持も得る必要があるとDeezerは認めている。

「我々にとって、これは私の心に近い問題です。ハンマーを使って、このアイデアを推し進めるのではなく、業界の皆に、このシステムがより良いものであり、試してみる価値があるということを納得してもらいたいのです」とDeezerのコンテンツおよび戦略責任者であるアレキサンダー・ホーランド氏は語っている。

「我々は、すべてのパートナーに大量のデータを提供しました。全ての質問に対して、答えを持っているかと言われれば、そうではありません。それでも、我々は、この方式がより良いシステムだと考えていますし、試してみるまでは、わかりません。私の願いとしては、来年の始めに試験を開始し、軌道に乗せていきたいと考えています。弊社のパートナーは皆、適切な見解を得るために必要な全てのデータを受け取っています。」とホーランド氏は続けた。

Deezerは、試験をフランスで開始し、全てが上手く行けば、その後はグローバルにこの方式を採用する予定だという。試験では、レーベル(録音原盤のロイヤリティ)にのみ、ユーザー・セントリック方式を導入し、出版社や徴収団体(出版社および作曲家へのロイヤリティ)には導入しないとのこと。