音楽ディストリビューター大手の「DistoKid」は9月、ユニバーサル ミュージック グループから著作権を侵害する大量のAI楽曲や粗製コンテンツを配信しているとして提訴された。

その後、DistoKidはアーティストに事前通知なく、楽曲をSpotifyやApple Music、YouTubeなどストリーミングサービスから削除していたことが明らかになった。

ユニバーサル ミュージック、AIスロップ大量配信の疑いでDistroKidを提訴。正当なアーティストや権利者から収益と再生を奪う不正を助長 – Music Ally Japan

多くのアーティストは事前に通達されておらず、中にはAIを使用していないオリジナル楽曲まで削除対象になったと、SNS上で不満の声を上げている人もいる。削除対象には、正規のライセンスを取得したカバー曲や、マーケットプレイスで購入したビートを使った楽曲も含まれていた。対象楽曲のロイヤリティ支払は凍結され、今後の楽曲リリースにも支障が生じる可能性も出ている。

DistroKidは複数のメディアに対して、「DistroKidを通じて配信された音源のうち、ごく少数がユニバーサル ミュージック グループからの申し立てを受けて削除されました」と説明している。今回の削除で、何人のアーティストや楽曲が影響を受けたかは明らかにされていない。

不満を抱えるアーティストたちは、DistroKidに問い合わせたが、担当者からの応答はなく、チャットボットとの堂々巡りのやり取りを強いられたという。またDistroKid側は、アーティストに対してどの音源の著作権を侵害したか、などの情報を開示していないという。

今回アーティストやマネジャーたちが強い不満と懸念を抱いている大きな理由は、DistroKidの対応だ。十分な事前説明を行わず、削除処置を強行し、意義の申し立てや、問題を解決するための手段も提供しなかった。

ユニバーサル ミュージックはDistroKidを著作権侵害を含む複数の問題に加担しているとして、同社を提訴している。訴状では、DistroKidがAI生成による粗製コンテンツを大量配信し、正規のアーティストや権利者から収益とリスナーを奪っていると主張している。

その中には、著作権で保護された楽曲を無許可で利用したリミックスやスピードアップ・バージョンの配信や、既存楽曲のインストゥルメンタルをほぼコピーし、新たなボーカルを重ねただけの音源の配信も含まれていると説明する。

加えて、DistroKid楽曲の中には、正規のアルバムカバーを無許可で使用した楽曲も含まれている。こうした配信が認められることで、リスナーは本来の楽曲とは異なる楽曲を誤って再生する可能性があり、権利者への収益を奪う可能性がある。

投稿者

  • ジェイ・コウガミ

    ジェイ・コウガミは、Music Ally Japanのエディトリアル・ディレクターで、ニュースレター記事執筆、イベントおよびカンファレンスのモデレーターを担当しています。