音楽ストリーミングサービスのDeezerは、配信数が増え続けるAI生成音楽の最新データを公表した。
同社は、定期的にAI生成音楽の配信に関する数値を公表してきたが、今回の発表は、音楽ストリーミング業界にとって、重要な転換点を示すものとなった。
同社によれば、今年6月、1日あたりDeezerにアップロードされた楽曲の50%以上をAI生成楽曲が占めた。計算すると、毎日9万曲以上のAI生成された楽曲が納品されたこととなる。
Deezerの今回の発表は、音楽業界に新たな懸念を示すこととなる。
Deezerでこの状況であれば、さらに規模の大きなSpotifyやApple Musicといったプラットフォームにも、同規模の楽曲数がアップロードされている可能性があるからだ。
AI生成楽曲の中には、人的再生や水増し行為で不当な利益を得ようとする目的で配信されている場合もあるため、本来ストリーミングサービスからの収益が還元されるはずだった人間の権利者やアーティストが不利益を被ることが問題視されている。
このデータを受けて、DeezerはAI生成音楽に対する方針を変更した。
今後、Deezerでは「6カ月以上再生されていない」生成AI楽曲や、再生詐欺に利用されていると検知された楽曲は、同プラットフォームから削除対象となる。
Deezerが過去に公表してきたAI生成音楽の数値は以下の通り。
▶2025年1月
1日あたり約1万曲が完全なAI生成楽曲。新規アップロード楽曲の約10%を占める。
音楽ストリーミングサービスでは初めてAI音楽の自動検出技術を開発、導入を開始。同プラットフォームにアップロードされるAI楽曲に自動でタグ付け
▶2025年4月
1日あたり2万曲超が完全なAI生成楽曲 (約18%)。
▶2025年9月
新規アップロード楽曲の28%が完全なAI生成楽曲。
2025年だけで、累計1340万曲以上のAI楽曲を検知し、タグ付け。
▶2025年11月
1日あたり約5万曲。新規アップロード楽曲の約34%。
▶2026年4月
1日あたり約7万5000曲。新規アップロードの44%以上。
▶2026年6月
1日あたり約9万曲。新規アップロードの50%以上。
Deezerにアップロードされる完全なAI生成楽曲の数は、増加傾向にある。
2025年1月には、1日あたり1万曲だった頃から現在は9万曲に増加しており、約9倍増えたこととなる。
ただし、これらの数値は新規にアップロードされた楽曲の曲数に関する数値で、AI生成楽曲が全体の再生で占める割合は増加していない。
同社によれば、AI生成楽曲の再生は、全体の1%から3%に留まっていると云う。
そのうち最大85%は詐欺目的で再生されていると述べる。これらの数値は依然から変化していない。
DEezerは、AI生成楽曲の詐欺的利用への対策として、AI音楽を自動検出する技術を導入している。
検知された楽曲はタグ付けされ、エディトリアル・プレイリストによる支援や、アルゴリズムによるレコメンデーションから除外している。
今回のDeezerの発表は、ストリーミングサービス各社でAI音楽の識別をさらに強化し、人間のアーティストの音楽と区別すべき意識を高めることに繋がるだろう。
先日、米国のレコード業界団体「全米レコード協会」(RIAA)と、世界の業界を代表する「国際レコード産業連盟」(IFPI)の2つの業界団体が中心となり、SpotifyやApple Musicなどのストリーミング各社に対して、企業独自の方式ではなく、グローバル音楽業界共通のラベリング方式を採用するよう、提案が発表されたばかりだ。
こうしたラベル表示の取り組みは、リスナーや音楽ファンに対して、完全なAI音楽や、AIツールを用いた作品かを示す音楽の透明性の確保に繋がる重要な取り組みの一環として、採用に関する議論が広がっている。
