YouTube Musicは、AI生成楽曲を人間が制作した楽曲と識別するラベル表示を同サービス上で開始すると発表した。
対象は生成AIを主として制作された楽曲で、生成モデルを活用した作曲やボーカルを制作した楽曲などにはラベル表示が順次適応される。AIラベルは「AI」ボタンとして表示され、タップすると、該当楽曲の制作に関する詳細情報が表示される。このラベル表示は今後、YouTubeのメインアプリでも表示される予定で、YouTube動画としてアップロードされたAI生成音楽にも対象を拡大していく。
https://blog.youtube/news-and-events/youtube-music-ai-labels/
YouTubeによれば、パートナー企業がYouTubeにコンテンツを納品する際、DDEXまたはCSV納品テンプレートを通じて生成AIの仕様を申告する。
その際には、「Fully Gen AI」(全て生成AI)、「Partly Gen AI」(一部生成AI)、「No Gen AI」(生成AIなし)の3つの選択肢から選ぶことができる。
例えば「Fully Gen AI」対象の楽曲は、テキストプロンプトを入力しAI音楽生成ツールで制作した楽曲が含まれる。
「Partly Gen AI」楽曲は、アーティストがAIを使ってベースラインやストリングスなどを制作した場合や、その上に自らのボーカルや生演奏を加えた楽曲が対象となる。Auto-Tuneなどのピッチ補正ソフトウェアの活用や、AIによる自動マスタリングは「No Gen AI」楽曲に分類される。
https://support.google.com/youtube/answer/17124251?hl=ja
YouTube Musicはブログ記事で、同社が音楽パートナーと連携し、独自の検出ツールを活用してAI生成楽曲を特定しており、該当する際には、YouTube全体ですでに導入されているラベル表示の原則を適用すると説明している。
またYouTubeは検出ツールに加えて、生成AIの使用を検知できる技術にも対応している。例えば、Google DeepMindが開発した、AI生成コンテンツを識別する電子透かし「SynthID」や、多くのAI音楽制作ツールで採用されているメタデータ「C2PA」が活用される可能性もある。
こうした仕様とツールの組み合わせで、パートナー企業や納品事業者がAI楽曲か否かを申告せずとも、AI生成またはAIで編集されたコンテンツを識別できる。
同社の最新の取り組みは、DeezerやSpotify、Apple Musicなど、大手ストリーミングサービス各社に次ぐ、AI楽曲識別ラベルの最新事例となった。
ただし、今回のYouTubeも、これまでのApple Music、Spotify、Deezerと同様に、音楽業界の複数の団体が今年7月に提案した業界標準のラベル表示の仕組みを採用せず、独自のルールを導入することを意味する。今回のYouTubeを含めると、大手DSP上位4社のうち、3社が独自のラベル表示方式を選んだことで、音楽業界が推進する方式が、今後普及していく道筋は見えにくくなっている。
とはいえ、ストリーミングサービス各社が、AIラベル表示に積極的な姿勢を見せていることは、業界全体にとってより大きな成果だ。これはリスナーにとっても、業界にとっても望ましい動きだ。
