Appleは21日、ロンドンのバタシー発電所の複合施設内に、収容人数600人規模のライブ会場「Apple Music Hall」(アップル・ミュージック・ホール)のオープンを正式発表した

Appleは同施設を活用して、新進気鋭のアーティストから世界的スーパースターまで幅広いアーティストを迎え、ファンに特別な音楽体験となるコンサートを開催する計画だ。

会場内には、演奏の音源・映像を収録し、最高品質のライブを全世界配信する最新鋭の設備を完備する。

また、アーティストが利用できるレコーディング・スタジオや、Apple Music Radioの収録スタジオなど、クリエイティブ分野での機能も揃えている。

かつて「iTunes Music Festival」(のちのApple Music Festival)を2007年から毎年恒例のイベントとして開催していたAppleにとって、Apple Music Hall開設はライブミュージックへの本格的な回帰となる。

同施設の正式発表前、Music Allyを含む一部のメディアは、今月初めに事前の施設見学ツアーに招待されていた。

テムズ川沿いに位置するこのライブ会場は、意図的にコンパクトに設計されている。

幅38フィート (約11.6m)のステージは、従来の正面向きのコンサート形式から、観客が360度で鑑賞できる没入感高い円形ステージ配置「イン・ザ・ラウンド」へレイアウトの変更が可能。

会場内には、48個のスピーカーで構成される空間オーディオ・システムを備え、コンサート映像の撮影用に16台以上のカメラが常時接続されている。

影したパフォーマンス映像は、空間オーディオでミックスされ、世界に向けてライブ配信やオンデマンド配信に活用できる。

https://www.apple.com/uk/newsroom/2026/09/apple-opens-apple-music-hall-a-state-of-the-art-live-music-venue-in-london/

ステージ裏手はさらに充実している。プロ仕様のレコーディング・スタジオ、ミキシングルームが用意されており、パフォーマンスをライブ中または事後に空間オーディオでミックスすることが可能。

会場内のカメラが撮影した映像を制御する専用の放送室に加え、従来の放送用カメラでの撮影に加えて、iPhone撮影に対応する環境も揃っている。

アーティストがロンドンをツアーで訪れた際に、同スタジオで録音することもできる。

また、アーティストやクルー、バンドメンバーも利用できる豪華な楽屋を揃え

さらに同施設内にApple Music Radioのロンドンスタジオも新たにオープンする。

キングス・クロスにある現在の拠点から移転し、今後は、新スタジオから生放送が行われる。

またスタジオでは、アーティストのインタビューや、世界初の新曲プレミア、サプライズ・パフォーマンスまで、多様な収録も可能になる。

この他にも、DJミックスの収録や、ライティング・キャンプ、バンドのリハーサルに利用できる専用の部屋も設けられている。

この会場を入り口に、アーティストはファンに向けた多様な取り組みやコンテンツ収録が実現できるだろう。

例えば、ウェンブリー・スタジアムやO2アリーナでの公演のためロンドンを訪れたアーティストが、Apple Music Hallでスーパーファン限定のコンサートを開催する。

希望すれば、パフォーマンス映像や音源を世界中に配信し、Apple Music Radioスタジオに立ち寄ってインタビューに応じる。そんな使い方が可能になる施設だ。

また、同会場でパフォーマンスを行ったアーティストは、ライブ音源の録音に加えて、空間オーディオ音源の制作、配信可能なミックス音源、マルチカメラによる映像収録までを施設内で作ることができるようになる。

大きなステージや巨大なバックステージエリアを設けた背景にはこうした考えがある。

コンパクトな会場でありながら、大規模会場並みの演出や衣装、バックバンド、ダンサーまでがゆったりと収まるよう設計されている。

今回のApple Music Hallに向けた取り組みには、Appleの音楽領域における歴史的な背景がある。

Appleは2007年にロンドンで「iTunes Music Festival」を開始し、毎年恒例の音楽イベントとして様々なアーティストを招いた。

2015年には当時ローンチしたばかりのサービスと連携したApple Music Festivalへと名称を変更した。

Apple主催の同イベントには、オアシス、アデル、オジー・オズボーン、リンキン・パーク、アークティック・モンキーズ、ブルーノ・マーズ、フー・ファイターズ、コールドプレイ、エド・シーラン、アリシア・キーズ、レディー・ガガ、エルトン・ジョン、アヴィーチー、ジョン・レジェンド、ファレル・ウィリアムス、メアリー・J. ブライジ、ワン・ダイレクション、ザ・ウィークエンド、ブリトニー・スピアーズ、カイリー・ミノーグといったアーティストが出演し、そのパフォーマンスは世界中にライブ配信された。

Appleは、同フェスティバルを2016年を最後に開催していない。復活について言及してこなかった。もしAppleが再開を決断するならば、Apple Music Hallはまさにそのための専用会場と言えるだろう。

同会場では、今後、個別のコンサートが開催される予定だ。出演者はまだ発表されていない。

アップルによれば、今後のコンサート情報はApple Music Hallの公式ウェブサイトで公開され、プロモーション用のTikTokおよびInstagramアカウントもすでに準備が整っている。

Apple Musicおよびインターナショナル・コンテンツ担当バイスプレジデントのオリバー・シュッサーは次のように語った「本日、Apple Music Hallのオープンにより、私たちはアーティストとファンへのコミットメントにおいて、再び前例のない一歩を踏み出します。Appleにしかできない方法で、ライブミュージックを支援していきます」

Apple Musicのグローバル・クリエイティブ・ディレクター、ゼイン・ロウも次のように付け加えた「私たちは常に、アーティストとファンをつなぐ新たな機会を探し求めています。なぜなら、私たち自身がファンだからです。素晴らしい空間で、素晴らしい音楽を体験し、それを世界と分かち合える新しい音楽会場。この関係を祝福するのに、これ以上の方法があるでしょうか」

投稿者

  • ジェイ・コウガミ

    ジェイ・コウガミは、Music Ally Japanのエディトリアル・ディレクターで、ニュースレター記事執筆、イベントおよびカンファレンスのモデレーターを担当しています。