フランスのディストリビューター「Believe」とSpotifyは、Spotifyが提供予定のAIを活用したカバー楽曲およびリミックスを制作する新機能に関するライセンス契約を締結した。同契約では、BelieveおよびTuneCoreを利用して配信するアーティストおよびレーベルが対象となる。
https://newsroom.spotify.com/2026-10-20/believe-spotify-licensing-agreement-fan-made-covers-remixes/
Believeによれば、アーティスト参加は、完全に任意となる。BelieveとTuneCoreは、2段階の同意プロセスを導入する。アーティストはAI関連プログラムの対象となることを希望するかどうか選択する(オプトイン)。
希望表明したアーティストは、Spotifyとのパートナーシップの案内が提示され、参加するかどうかを選択できる。
これは同社が2023年に策定した「同意」(Consent)「管理」(Control)「対価」(Compensation)「透明性」(Transparency)という責任あるAI原則に基づいている。
新機能では、ファンがAIを使って楽曲のリミックスやカバーを制作できるようになる予定で、「まったく新しい作品を生成するものではありません」とBelieveとSpotifyは述べる。
リミックスがSpotifyで再生されると、原曲に関わる参加アーティストと権利者に対してロイヤリティが支払われる。
同機能はSpotifyプレミアム会員向けの有料アドオンとして提供される予定で、参加するアーティストやソングライターがすでにSpotifyからの既存の収益に加えて、新たな収益源となる予定だ。
BelieveとSpotifyは、ファンが生成するリミックスは広く普及しているが、「多くの場合アーティストやソングライターには対価が支払われていない」と課題を指摘する。両社によれば、Spotifyのリミックスは、SNS上のリミックスと異なり、Spotify上の全ての原曲やアーティストに紐付けられる。これによって、リスナーはリミックスを通じて原曲を発見したり、改めて聴き直すことができる。
ただし、現時点でSpotifyは、このカバー・リミックス機能の価格やリリース日をまだ発表していない。同機能に関して、Spotifyは5月にユニバーサル ミュージック グループ、8月にMerlinとKobalt Musicとそれぞれライセンス契約を締結した。
一方、ソニー・ミュージックグループとワーナー・ミュージック・グループは、まだ今回のカバー・リミックス機能に関する契約を発表していない。
Spotifyの共同CEOを務めるグスタフ・ソーダーストローム (Gustav Söderström)は第2四半期決算発表の場で、メジャーとの契約の是非について質問された際には、同機能の正式リリースの前に「すべてのメジャーレーベルと契約する必要はありません」と答えている。
Believeの創業者兼CEOのデニス・ラデガイリー (Denis Ladegaillerie)は次のように述べた「1年前、私たちはSpotifyとひとつのビジョンを共有しました。AIはアーティストの権利や音楽の価値を守りつつ、彼らに新たな機会を創出するものでなければならない、というものです。今回のパートナーシップは、そのビジョンを実行に移すものです」
「私たちは共に、すでに広く行われているファンによるリミックス活動を、正式なライセンスに基づく体験へと変えていきます。これにより、スポティファイの管理されたプラットフォーム上で、ファンのリミックス制作が促進されると同時に、アーティストには収益がもたらされます。これこそが、同意、管理、対価、透明性という私たちの4原則が、アーティストにとっての具体的な利益へと変換される仕組みです」
「同様に重要なのは、私たちがアーティストを守るという姿勢を共有していることです。その一例は、AI生成によるスパムや低品質コンテンツに対するSpotifyによる安全対策の強化と、GenAI音楽コンテンツ・フレームワークをさらに強化するBelieveの継続的な取り組みです。これらの対策は、私たちが粗悪なAIスロップを根絶し、AIを音楽ファン、アーティスト、権利者にとっての価値創造の原動力にするための連携を示しています」
SpotifyのSVP兼グローバル音楽責任者であるチャーリー・ヘルマン (Charlie Hellman)は次のように述べた。
「適切に行われれば、ファンによる創造的な活動は、ファンが愛するアーティストとのつながりを深め、アーティストに新たな価値を生み出し、再び原曲への注目を呼び起こすことができます。これを実現するには、業界全体のパートナーが必要です。Believeとインディペンデント・アーティストたちは、あらゆる重要な転換点において、業界を前進させてきました。彼らの参加によって、アーティストの同意、正当な対価支払、適切なクレジット表示を求める動きの強化をさらに高められることを心強く感じています」
BelieveはSpotify以外では、今年9月に生成音楽AIプラットフォーム「Suno」とグローバル・ライセンス契約を締結した。この契約も、BelieveおよびTuneCoreの参加アーティストや楽曲が対象に含まれる。
