音声アシスタントの使用が「クリティカル・マス」に到達しているとeMarketerが発表

調査会社のeMarketerが、米国における音声アシスタント技術の使用に関する新たな統計を発表した。

「米国において今年は、昨年の1億200万人から9.5%増となる、1億1,180万人が最低でも月に一度は音声アシスタントを使用するだろうと我々は予測しています。これは、アメリカにおけるインターネットユーザーの39.4%、全人口の33.8%に相当する人数です。2021年までに、アメリカにおける音声アシスタントのユーザー数は1億2,270万人に達し、米インターネット・ユーザーの42.2%、米人口の36.6%に相当するようになるでしょう。」

ただ、これは、「音声アシスタントのユーザー数」であって、「スマートスピーカーのユーザー数」ではないことは注意する必要がある。「今日、ほとんどの人がスマートフォンやスマートスピーカー場で音声アシスタントを使用しています。かなりの差をつけて、スマートフォンでの利用が最も一般的となっています。」とeMarketerは発表している。

また、eMarketerの調査によると、アメリカでは、女性の34.4%、男性の33.3%が音声アシスタントを利用しているという。「初期の利用は、女性に若干偏っていましたが、音声アシスタントを利用する男性の割合も近年加速しています」とeMarketerは述べている。

YouTubeが手動申し立てツールのポリシーを変更

YouTubeが、動画内で使用される音楽に関する、著作権侵害申し立てのプロセスを変更するという。ただし、これらの変更は、YouTubeにおける音楽著作権申し立ての大部分を占めるコンテンツIDシステムを使用した自動申し立てではなく、「手動」による申し立てにのみ適用されるとのこと。

「今後、当社のポリシーでは、著作権所有者が手動申し立てツールを使用して、非常に短い、または意図しない音楽の使用を伴うクリエイターの動画を収益化することを禁止します。収益化のオプションがなければ、著作権所有者の一部は、非常に短い、または意図しない音楽の使用を申し立てしないでおく選択をするかもしれません。また一部は、誰も動画が収益化できないようにすることを選択するかもしれません。ブロックポリシーを適用する人もいるでしょう」とYouTubeは説明している。

YouTubeは9月中旬に新ポリシーの実施を開始する。「これらの変更により、短期的には、より多くのコンテンツがブロックされる結果となるかもしれませんが、長期的に正しいバランスを保つためには、これが重要な一歩であると我々は考えています」とYouTubeは語っている。

テンセント・ミュージックのオンライン音楽サービスの有料ユーザー数が3,100万人に

テンセント・ミュージック・エンターテインメント(TME、騰訊音楽娯楽集団)が、最新の決算を報告した。発表によると、同社が運営する3つのオンライン音楽サービスのアクティブ・ユーザーの成長は鈍化しているものの、それらサービスへの有料加入者数は、遥かに活発な勢いで成長しているとのこと。

テンセント・ミュージックのモバイル月間アクティブ・ユーザー数は、第2四半期末時点で、QQ Music、Kugou Music、Kuwo Musicの3サービスを合わせて、前年同期比1.2%増となる6億5,200万人となった。しかし、同期間で、有料会員数は33%増となり、前年の2,330万人から今年6月末時点で3,100万人まで成長を見せた。今年の第2四半期におけるテンセント・ミュージックの新規有料会員数は260万人となっている。ちなみに、Spotifyの同期における新規有料会員数は800万人だ。

テンセント・ミュージックの有料会員は、月平均8.7人民元(約131円)を消費しており、テンセント・ミュージックの有料会員ごとの平均収益は1.1%下落したことになる。テンセント・ミュージックは、第2四半期において、オンライン音楽サービスから前年同期比20.2%増となる、15億6,000万人民元(約235億600万円)の収益を上げている。この数字には、31.9%の成長を見せ、7億9,800万人民元(約120億2,400万円)の収益を上げた音楽サブスクリプションや、アルバム・ダウンロードの売り上げも含まれている。

テンセント・ミュージックは第2四半期において、9億2,700万人民元(約139億6,700万円)の純利益を報告しているが、今回も、カラオケおよびライブ配信アプリ分野のソーシャル・エンターテインメント事業が大きな役割を果たすこととなった。テンセント・ミュージックにおけるソーシャル・エンターテインメント事業の収益は、35.3%成長し、43億4,000万人民元(約653億8,600万円)となった。

ソーシャル・エンターテインメント事業は、テンセント・ミュージックの総収益の73.5%を占め、オンライン音楽事業は26.5%を占める結果となった。同社のソーシャル・アプリのモバイル月間アクティブ・ユーザー数は、前年同期比4.8%増となる2億3,900万人となり、有料会員数は前年同期比16.8%増の1,110万人となった。カラオケおよびライブ配信アプリの有料ユーザーは月平均130.2人民元(約1,962円)を消費しており、オンライン音楽サービスの有料ユーザーが消費している額の15倍以上となった。

また、テンセント・ミュージックは、Kugouにショートビデオ機能を追加し、ユーザーやプロのクリエイターがともに投稿できるようにしており、TikTokのテリトリーへとサービスを進出させている。他にも、カラオケアプリWeSingのLite版をローンチするとともに、その他の東南アジア諸国にもサービスを展開した。さらに、テンセント・ミュージックは、スマートスピーカーやスマートウォッチ、車などの製造元とのパートナーシップに取り組んでいるという。

決算報告の場では、テンセント・ミュージックの親会社であるテンセントが、ユニバーサル・ミュージック・グループの株を最大20%取得する計画についても言及された。テンセント・ミュージックのCEOであるクッション・パン氏は、「現在、テンセントがヴィヴェンディとの協議を進めています。テンセント・ミュージック・エンターテインメントは、これらの取引への参加に関して、最終決定を下していません。しかし、社内で、特に弊社の役員レベルで、さらに議論が行われていくことでしょう」と慎重な回答をしている。

ユーザー・セントリック方式によるストリーミング支払いがもたらしうる「意図しない影響」

「ユーザー・セントリック方式」というのは、音楽ストリーミング・サービスによるロイヤリティ支払いの新たな分配モデルだ。これまでにもこの方式を取り入れることについて議論がなされてきたが、あらゆる面において、多くの人が考えているほど、これは単純なことではない。ユーザー・セントリック方式は、現行のように、ストリーミング・サービスにおける有料会員の月額費を一度集めて、ストリーミング再生回数に基づいて分配するのではなく、実際にそれらのユーザーが該当月に再生したアーティスト間でのみ、ロイヤリティを分配するモデルとなっている。

ユーザー・セントリック方式の方がフェアだという意見も多い中、この方式を取り入れるには、いくつかの複雑な問題がある。

一つ目は、ユーザー・セントリック方式に切り替えることの影響を理解するため、これまでに行われた研究の数はわずかであり、研究結果が今のところ、決定的となっていないことが挙げられる。しかし、「インディペンデント / ニッチなジャンルのアーティストがより多くのお金を獲得することができる」というような単純なことではないという。

二つ目は、これらの研究からは、ストリーミング・サービス、レーベル、出版社、徴収団体がユーザー・セントリック方式に切り替えるのに、どれほど費用がかかるか(費用によっては、アーティストへの支払いにも影響が及びかねない)、またどれほど困難であるかということも明らかになっていないことだ。

三つ目は、一部の権利保有者やストリーミング・サービスだけがユーザー・セントリック方式を取り入れて、他が取り入れなかったらどうなるかということだ。一体どのようにして業界全体で同時に切り替えることが可能なのか。

ユーザー・セントリック方式は、より公平なモデルに感じられるかもしれないが、カンファレンスなどで叫ばれている「ユーザー・セントリック方式を採用しよう!」という意見は、これらの複雑な問題を看過していることが多い。しかし、これらの問題は、ユーザー・セントリック方式を却下する理由になるものではなく、より大規模書く広角な研究を推進する理由となるべきだ。

最近の研究としては、Spotifyのチーフ・エコノミストであるウィル・ペイジ氏と元PRS for MusicとASCAP幹部のディヴィッド・サフィール氏による論文がある。この論文の主要なポイントは、どれくらいの人々がストリーミングを利用しており、どれくらいのアーティストを実際に聴いているのかといった、「ユーザーの行動」について詳しく話し、ストリーミング・サービスがユーザー・セントリック方式を採用すべきか、アーティストはユーザー・セントリック方式と現行方式のサービス、どちらを好むかといったことを理解する必要があると述べていることだ。

「現行方式では、アーティストは多様性にはあまり関心を払わず、単純に、自分たちの音楽を再生するユーザーが最も多いプラットフォームを好むでしょう。ユーザー・セントリック方式においては、アーティストは、好みの多様性が少ないリスナーが多いストリーミング・プラットフォームを好むようになるでしょう。」

この論文は、ユーザー・セントリック方式に切り替える前に、これら全ての課題について、この先数ヶ月から数年にわたって、さらに多くの議論が必要とされることを明示している。この複雑さを完全に理解している人々は、業界がユーザー・セントリック方式を採用すべきかどうか、まだ確固とした結論を出せていない。一方で、切り替えを推奨する人たちの多くは、潜在的な影響について、まだ完全に理解できていないようだ。

どちらにせよ、より一層の研究が、人々のユーザー・セントリック方式への理解を深めることに繋がるだろう。恐らく、今の動きとして最も求められているのは、大手ストリーミング・サービスが、社内向けとしてではなく、業界と協力して、自社のデータと専門知識を活用した研究を行い、結果を公にすることだろう。しかし、こういった研究でさえも、こうした複雑な問題を山ほど内包していることを忘れてはならない。

ワーナー・ミュージック・グループCEO「ストリーミングだけが業界成長の理由ではない」

ワーナー・ミュージック・グループが最新の決算を報告し、収益が、前年同期比10.4%増の10億6千万ドル(約1,115億6千万円)となったと発表した。デジタル収益は12.5%成長の6億4,800万ドル(約682億1千万円)となり、全体の61.2%を占める結果となったという。


ワーナー・ミュージック・グループの録音原盤収益は13.8%増の9億1,300万ドル(約961億1千万円)となったが、出版収益は7.5%減の1億4,700万ドル(154億7千万円)となった。出版収益減少の理由としては、「市場シェアの低下と特定のカタログの管理権喪失」が挙げられている。

CEOのスティーブ・クーパー氏は、ワーナー・ミュージック・グループの成長は全てストリーミングによるもの」という想定を否定した。クーパー氏は、「ストリーミングのおかげで弊社の事業が回復したというのは、物事を単純化しすぎていると思います。我々のアーティストおよび作詞作曲者の才能とクリエイティビティ、そして、我々が行なった彼らへの投資と専門知識の活用無くしては、成長は生まれなかったでしょう」と決算報告とともに述べている。

「これらのプラットフォームでリリースされる音楽の膨大さによって、優れたアーティストや作詞作曲者が発見されづらくなっています。ストリーミング時代において、消費者は指先だけで5,000万曲を聞くことができ、その数は1日4万曲以上のペースで成長しています。だからこそ、我々の録音原盤および出版事業が、これまでにも増して関連性を持つのです。大勢の中から存在感を突出させるために。」

続けて、クーパー氏は、Spotifyとのライセンス更新交渉についても言及している。「我々は、ストリーミング・サービスへ新しい素晴らしい音楽を着実に提供するとともに、クリエイティブ・コミュニティに利益をもたらすスタートアップ企業、新たなビジネスモデル、および起業家を支援しています。同時に、我々は、アーティストや作詞作曲者の生計を守るために、音楽が適切に評価されるようにしなければなりません。世界的なディストリビューターとの間で、そういったバランスを取り、正しい妥協点を見つけることは、決して簡単なことではありません。我々の競合他社の選択とは必ずしも一致しない、戦略的決定を下さねばならない時もあるということです。」

クーパー氏のコメントは、最近ワーナー・ミュージック・グループの幹部がストリーミングに関してタカ派的姿勢を示しているのとパターンが一致している。グローバル事業開発及び戦略シニア・バイス・プレジデントであるトレーシー・ガードナー氏は、仏カンヌで開催された国際音楽産業見本市MIDEMに登壇した際、レーベルは音楽ファンとより直接的な関係を築くことを望んでいるという警告からスタートしている。「ストリーミング・サービスは今や、ファンと直接的な関係性を持つようになっていますが、我々はそれを取り返すべきだと思っています」

続けて、ガードナー氏は、ストリーミングの契約において「ストリーミング・サービスにおける我々の市場シェアが減ることがないよう、保護する方法を見つける」必要があると話している。具体的には、「ポッドキャストのように、リスナーの注意を巡って対立するもの」の存在を挙げていた。

メジャー・レーベルが最も著名なストリーミング・サービスとの交渉中に、ストリーミングに関して強気な発言をすることは、驚くべきことではない。クーパー氏も、ワーナー・ミュージック・グループの成長において、ストリーミングが引き続き重要な役割を果たすであろうことは認めている。「近い将来については、楽観的です。私の見解では、我々は引き続き成長し続けることができると思います。直線とまではいかないかもしれませんが、ストリーミングが引き続き成長することにより、ストリーミングが新興市場に移っていっても、我々は着実に成長し続けるでしょう。ここ数年の成長具合と同じとまではいかなくても、この先数年は大丈夫でしょう」とクーパー氏は語る。

ミュージック・ビジネス・ワールドワイドは、世界三大メジャーのストリーミング成長に関わる数字を分析している。2019年上半期、世界三大メジャーは、録音原盤から7億900万ドル(約746億1千万円)のストリーミング収益を追加したが、この数字は、前年上半期の8億7,700万ドル(約922億9千万円)よりも少ない額となっている。とはいえ、メジャー・レーベルは1日辺りストリーミングから2,300万ドル以上(約24億2千万円)の収益を生み出している。

クーパー氏は、ヴィヴェンディが、最大20%までのユニバーサル・ミュージック・グループの株をテンセントに売却する交渉をしたことにより、ワーナー・ミュージック・グループが自身の合併買収の野望へ資金確保するために、新たな戦略的投資、もしくは株式公募に踏み切る可能性はあるかという記者の質問に対しては、次のように答えている。

「現時点での現状は良い調子ですが、将来について絶対に確実なことは何もありません。我々は、引き続き、ワーナー・ミュージック・グループがアーティストや作詞作曲家とともに最高の音楽を届ける企業であるということを世界に示し続けるだけです。」

テンセントがユニバーサル・ミュージック・グループの株を最大20%取得か

ユニバーサル・ミュージック・グループの株を最大50%売却しようとするヴィヴェンディの動きに大きな進展があった。ヴィヴェンディは、中国テンセントとユニバーサル・ミュージックの株10%に関して「一次交渉」に入り、1年以内に同価格および同条件で、さらに10%を取得可能なオプションも付いているという。

ユニバーサル・ミュージック・グループは全体で300億ユーロ(約3兆5,400億円)と評価されており、取引が成立した場合、テンセントは最初の10%の株を33億6千万ドル(約3,535億円)で取得することになる。今年1月には、ドイツ銀行がユニバーサル・ミュージック・グループの価値が330億ドル(約3兆4,720億円)であると示唆し、モルガン・スタンレーは290億ドル(約3兆511億円)から420億ドル(4兆4,203億円)の間、翌月にはJPモルガンが500億ドル(約5兆2,622億円)と分析していた。

一番数字が近かったのはドイツ銀行ということになりそうだが、テンセントとの取引はまだ始まったばかりだ。ヴィヴェンディは、ユニバーサル・ミュージック・グループの残りの少数株を売却する潜在的なパートナーを探し続けているが、テンセントとのパートナーシップは、単なる株式売却以上のものになると強調している。

「ヴィヴェンディとテンセントは同時に、商業面での戦略的協力も検討しています。ヴィヴェンディは、デジタル化と新たな市場開拓によってもたらされる成長機会をユニバーサル・ミュージックが獲得するのに役立てられるよう、協力強化を模索したいと考えています」とヴィヴェンディは発表している。

「テンセントとともに、ヴィヴェンディはユニバーサル・ミュージック・グループでこれまで最高の楽曲カタログを製作してきたアーティストのプロモーションを改善し、新たな市場における新たな才能の発掘およびプロモーションも行なうことを望んでいます。ヴィヴェンディは今回の新たな戦略パートナーシップが、テンセントとユニバーサル・ミュージック・グループ両方に価値をもたらしてくれることを期待しています。」

このような協力が実現すれば、両社に価値がもたらされることはまず間違いないだろう。しかし、たとえテンセント・ホールディングスが、中国でカラオケ・アプリやライブ動画配信アプリとともに、三つのストリーミング・サービスを運営するテンセント・ミュージックとは別物であっても、このような協力体制への音楽業界からの反発は、かなりのものになる可能性もある。

ユニバーサル・ミュージック・グループのCEOであるサー・ルシアン・グレンジ氏は、今回の件に関して「ヴィヴェンディとユニバーサル・ミュージック・グループ両方にとって、エキサイティングな進展」であると言及している。「我々の戦略を加速および拡大する可能性があり、疑いもなく素晴らしいことです」

競合メジャーレーベル(そして大手中国音楽企業)は、このパートナーシップがもたらす影響の解析に時間を費やすことになるだろう。一方、ユニバーサル・ミュージックの株式取得の候補者としては、メディア大手のLiberty Media、投資グループのKKR、さらにはアップルやSpotify、グーグルなどの名前も上がっている。