アプリ消費時間の10%、アプリ消費額の74%をモバイル・ゲームが占める

分析企業のApp Annieが、モバイルアプリ内のゲーム市場について新たなデータを発表した。発表によると、「全モバイル・ダウンロード数のうちの33%、そして、モバイル上における消費時間のうち10%がゲームから生じている」という。また、「ハイパーカジュアル(※1)とクロスプラットフォーム(※2)型ゲームの台頭により、アプリストアにおける全消費額の74%がゲームからもたらされている」とも発表している。

さらに、App Annieは、2019年、全ゲーム消費額(モバイル、コンソール、PCなど)のうち、モバイルゲームが占める割合は60%になると予測している。伝統的なゲーム業界で長年にわたり、見くびられてきた分野としては、悪くない数字と言えるだろう。

※1ハイパーカジュアル:ハイパーカジュアルゲームとは、開発に時間がかからず、シンプルなインターフェイスで、直感的にプレイできるゲームのこと。
※2 クロスプラットフォーム:ハードの垣根を超えてコンテンツを楽しむことができるプラットフォーム連携機能のこと。

Spotifyがフェイスブックの仮想通貨Libraを支援

音楽ストリーミング・サービスのSpotifyが、フェイスブックが新たにローンチする仮想通貨Libraの最初の支援者のうちの一社となる。フェイスブックが、新しい子会社であるCalibraが開発するウォレットとともに、仮想通貨を2020年にローンチするという。

そしてこれを全面的にサポートするのが、The Libra Associationという独立した非営利団体になるとフェイスブックは発表している。Spotifyは、eBay、Uber、Lyftなどと並び、その団体の「テクノロジーおよび市場」分野の創設パートナーになるという。ちなみに、「支払い」分野の創設パートナーはMasterCard、Visa、PayPal、Stripeだ。

フェイスブックはLibraについて、「初期段階から、Calibraはスマートフォンを通じて、ほとんど誰にでも、テキストメッセージを送るのと同じくらい簡単、かつ即座に、低コストもしくは無料で、Libraを送ることを可能にします。行く行くはボタン一つで請求書を支払ったり、コードをスキャンして一杯のコーヒーを買ったり、現金やメトロパスを持ち運ぶ必要なく、公共交通機関に乗ったりといった人々や企業のための更なるサービスも提供したいと思います。」と宣伝している。

Spotifyもなぜこのプロジェクトに参加するかを説明するブログを発表している。「Libraはインターネット上において、シンプル、便利、かつ安全な支払いを実現するための大規模な機会です(特に、世界中のモバイル・マネーや銀行口座、支払いカードへのアクセスを持たない17億人の大人にとっては)。我々が事業を展開している多くの発展途上国において、このような現状を直接見てきました。」とSpotifyは語る。

Spotifyのチーフ・プレミアム・ビジネス責任者であるアレックス・ノーストロム氏はさらに詳細な情報を提供している。「Spotifyと世界中のユーザーにとっての課題の一つとして、簡単にアクセス可能な支払いシステムの欠如が挙げられます。財政的に十分なサービスを受けられていない市場に関しては特にそうです。これは、クリエイターとファンの間に我々が築こうとしている絆への大きな障壁になっています。The Libra Associationに参加することで、より効果的にSpotifyが達成しうる最大の市場規模に到達し、摩擦を取り除くことで大々的な支払いを可能にできる機会があるのです。」

つまり現時点では、この試みは、Spotifyがアーティストに対する支払いをブロックチェーン / 仮想通貨で行うというよりかは、Spotifyに対するリスナーの支払いのことにフォーカスを当てているようだ。しかし、ブロックチェーン分野のエキスパートであるUjoのアドバイザーであるサイモン・デ・ラ・ルヴィエール氏は、アーティストへの支払いに関しても可能性はあると述べる。「仮想通貨は、世界中に点在する複数のアーティストにロイヤリティを支払うのに適しているからです」とルヴィエール氏は語った。

Geniusが検索エンジン内の歌詞についてグーグルを批判

歌詞を集めたサイトを運営するGeniusとグーグルが、歌詞のコピー疑惑騒動を巻き起こしている。遅かれ早かれ、グーグルの検索結果向けにコンテンツを提供する同分野企業のLyricFindなども渦中に巻き込まれることになりそうだ。

Geniusはウォール・ストリート・ジャーナルに対して、グーグルの検索結果における「OneBox※」カード内で提供されている歌詞の一部が、Geniusのサービスから直接引用されていると語った。証拠として、Geniusは歌詞の中で、直線のアポストロフィ記号(')と曲線のアポストロフィ記号(‘)を交互に使用しており、モールス符号に変換すると「Red Handed(直訳:現行犯)」と綴られるようにしていたと話している。つまり、このアポストロフィ記号の組み合わせがGenius以外のサイトに現れた場合、面倒事が起きていると分かるということだ。

※「Google Onebox(グーグル ワンボックス)」とは、検索キーワードの種類によっては検索結果の上部に、求めている情報に直結した結果を表示する特徴のこと。

Geniusの最高戦略責任者であるベン・グロス氏は米テクノロジー・ニュースメディアのThe Vergeに対し、「グーグル検索結果のOneBox内で、Geniusからコピーした歌詞が表示されているという紛れもない証拠を何度も何度も示している。これは深刻な問題であり、グーグルはこれに対処する必要がある」と語っている。Geniusによると、これまでに同様の事例は100件以上見つかっているとのこと。

テクノロジー・ニュースサイトのEngadgetは、この問題に対するグーグルの声明を報道している。グーグルは、検索エンジンに表示される歌詞は「様々なソースからライセンスされており、ウェブ上のサイトから削り取られたものではありません。我々はデータの質とクリエイターの権利を真剣に捉えており、我々の契約条件に対して、我々のライセンス・パートナーに説明義務があると考えています。我々が契約を結んでいるデータ・パートナーと現在この問題について調査を進めており、パートナーが適切にこれらを実施していないと判明した場合には、契約を終了いたします。」と述べている。

LyricFindはグーグルとパートナー契約を結ぶ企業の一つだが、同社のCEOであるダリル・バランタイン氏はウォール・ストリート・ジャーナルに対して、「我々の歌詞はGeniusをソースとはしていません」と語っている。事件に関係している企業は全て、今週中にでも原因と責任の所在の究明に時間を費やすことになるだろう。また、今回の問題には、競争的な意味合いも含まれている可能性がある。Geniusは、グーグルが検索エンジンにおいて歌詞に力を入れ始めてから、Geniusのサイトのトラフィックが減少し始めたとも語っている。

競争的な問題ではあっても、著作権的な問題とまではいかないことにも注目したい。Geniusは歌詞を音楽著作権所有者からライセンスしており、どんなアポストロフィ記号を使用したとしても、歌詞を所有していることにはならないからだ。ちなみに、この騒動は、Geniusが提供する、歌詞の注釈(こちらはGeniusのオリジナル素材となる)については関係がなく、グーグルがすでに(グーグル自身のライセンス契約とパートナーシップを通じて)使用する権利を得ている歌詞についての問題となっている。

とはいえ、Geniusの怒りは無理からぬことであり、グーグルやその他の歌詞パートナー企業は原因と責任の所在を突き止めることが優先事項となるだろう。

2018年、YouTube総再生数の20%を音楽が占めたとの研究報告

音楽動画から生み出されるロイヤリティに関する、音楽業界によるYouTubeへの批判は、音楽がYouTubeにおける視聴の大半を占めるという推定に基づいている。しかし、これは事実、根拠となるデータに欠けた、単なる推定であることは念頭に置いておく必要がある。動画・音楽分析企業のPexが、YouTubeにおける視聴を音楽を含むカテゴリーごとに分類する新たな研究報告を発表した。

Pexの分析によると、昨年音楽動画はYouTube上で約2兆近くとなる再生回数を記録し、YouTube上における総再生数の20%を占めたという。音楽動画はYouTubeにおけるコンテンツ全体の5%しか占めていないのにも関わらず、である。さらに、音楽動画一本あたりの平均視聴回数は1万6,400回となっており、他のどのカテゴリーよりも高い数字となっている。また、音楽動画は、動画長さの平均としては一番短くなっている(6.8分)。

動画の長さに関する数字についてよく考えると、これが明らかに「ミュージック・ビデオ」、つまり、4分程度のプロモーション・ビデオだけでなく、より長い演奏動画やその他の音楽コンテンツなど、音楽に関連する動画も含む数字であることがわかるだろう。

しかし、同時にYouTube上で「音楽とエンタテインメントは、投資(コンテンツの量、つまりホスティングと配信コスト)に対して不均衡に高い見返り(再生回数)をもたらす唯一のカテゴリーである」とするPexの結論についても熟考する必要がある。

元Spotify幹部がDIYアーティスト周辺の「間違った話の流れ」を批判

2019年において、一部では「アーティストはレーベルを必要としない」という言葉に少々浮かれすぎる傾向がある。アーティストは近い将来、Spotifyなどのサービスと直接ライセンス契約を結んだり、直接アップロードできるようになるという見込みもあり、またディストリビューターと協力することで、レーベル・システムの外でも大きなオーディエンス(および収益)を築くことができるようになっているというのは事実だ。しかし、アーティスト・ダイレクト(アーティスト直)の収益が急成長していることは確かだが、録音原盤市場全体でみると、まだごくわずかな割合でしかないということもまた事実である。

元Spotify幹部のトロイ・カーター氏は、最近では、ディストリビューションをアーティスト開発およびレーベル・サービスと組み合わせたQ&Aという企業をローンチしたこともあり、アーティスト・ダイレクトというエコシステムにおける先導的な存在とも言える。しかし、フランスのカンヌで開催された国際音楽産業見本市のMIDEMにおける彼の基調講演では、アーティスト・ダイレクトというモデルに関する大言壮語を挫く立ち位置を示すこととなった。

「現状として間違った話の流れがあります。それは『アーティストは皆インディペンデントになりたがっているんだ!』というものです。テイラー・スウィフトはTuneCoreには参加したくないでしょう、悪気があって言うわけじゃありませんが。テイラー・スウィフトは契約期間が切れて、再びユニバーサルと契約することを選びました。お金のためにそうしたわけではありません。お金は必要としていないでしょう。ユニバーサル・ミュージック・グループのチームとの経験のためなのです」とカーター氏は語った。

しかし、カーター氏は同時に、ディストリビューターやマネージャー、そしてQ&Aのようなハイブリッド型の企業がレーベルに挑戦する機会についても言及している。「メジャー・レーベルのビジネスが続いているのは、彼らが備えているサポート・システムと、グローバルなインフラのおかげです。だから、ディストリビューターが同じような付加価値を持ち、経験、サービス、そして資本を持つことができれば、非常に競争力のある存在になり得るでしょう」とカーター氏は語る。ちなみに、Q&Aはすでにワーナー・ミュージック・グループとパートナー関係を結んでおり、多くのQ&Aアーティストがアトランティック・レコードと契約している。

カーター氏はさらに、既存のディストリビューション企業の批判もしている。Spotifyに入る前に行ったというディストリビューション分野に関する研究から、「ディストリビューション企業の多くは、ブラックホールのようなもので、アーティストが音楽をこれらのパイプに入れ込んでも、反対側から何が出てくるのかを知りません」と述べている。そして、「Spotifyにいる間、プラットフォームに多くの音楽が何の文脈もなく現れるのを見てきました」と言う。

一方で、Spotifyがアーティスト向けにアナリティクス・ツールを提供していたことに関して、「ほとんどの場合、アナリティクスの見方がわからない人や、アナリティクスの見方が分かっているにも関わらず、それに基づいた意思決定を行う方法を知らない人がいるのです。その時点では、データは無益と言えるでしょう。」と語った。

また、「現状は、とてもとても厳しいものです。三つの企業が全てのビジネスをコントロールしています。そして、これらの企業とビジネス関係にある出版社があります。ビジネスの構造上、ロングテールのアーティストが持続可能かつ広く普及する方法で金銭的収益を得ることができないようになっています。私は、これらの人々にも収益化を許す方法が何かしらあると思っています。全部さらけ出すわけにはいきませんが、それが、Q&Aで我々がやろうとしていることです。」とQ&Aのような会社が持つ可能性も強調した。

地位を確立しているAWALや、その他のメジャー・レーベルのディストリビューションおよびレーベルサービス部門の傍ら、こういった問題に挑戦している会社としては、やり方はそれぞれ異なるとはいえ、Q&A、UnitedMasters、Amuse、そしてアップル傘下となったPlatoonなどが当てはまるだろう。これら全ての企業の活動が伝統的なレーベルの契約構造にも影響を与えていることは間違いない。カーター氏が述べるように「最も付加価値をつけることができたものが勝つ」ということだろう。

2030年までにストリーミング収益が約4兆348億円になるとゴールドマン・サックスが予想

ゴールドマン・サックスが2017年に「Music In The Air」というレポートで、2030年までに有料ストリーミングから生まれる貿易収入は280億ドル(約3兆370億円)になるという予想を発表した際、興奮と同じくらい議論が沸き起こることとなった。

そのレポートの最新バージョンが発表され、2030年までに有料ストリーミングから生まれる収入予想は275億ドル(約2兆9,830億円)となり、以前よりも若干下がる結果となったものの、広告サポートによるストリーミング収益も足すと、ストリーミング貿易収入のトータルは、2030年までに372億ドル(4兆348億円)にまで成長するという。

また、ゴールドマン・サックスは、有料ストリーミング・サービスのユーザー数が、2023年までに6億9千万人、2030年までには11億5千万人になると予測している。ゴールドマン・サックスのレポートを読んだミュージック・ビジネス・ワールドワイド(MBW)によると、後者の68%が「新興市場」のユーザーだという。また、2030年においても、Spotifyは音楽ストリーミング・サブスクリプションにおけるシェアの32%を占めると予測されている。

今後、これらの数字が多くのカンファレンスなどで議論されたり、使用されたりすることは想像に難くない。しかし、一つ懸念を示すとすれば、この数字のタイムスケール感だろう。例えば、Spotifyのローンチ前の2008年に出されたレポートのうち、2019年の音楽市場について正確に予測することができていたものは何本あるだろうか。

控えめに言っても、2030年における市場予想の数字を2019年に発表することは性急であると言える。しかし、投資家の信頼を高めるものとしては、ゴールドマン・サックスのレポートがその短期的目標を果たすことは間違いないだろう。